第102回 訪日中国人旅行客が急増中【北京駐在員事務所から】

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第102回 訪日中国人旅行客が急増中【北京駐在員事務所から】

春節(旧正月、今年は2月19日)の連休が近づき、日本にも多くの中国人旅行客が訪れる見込みです。百貨店、家電量販店、ディスカウントストアなどは、免税取扱カウンターの増設や、中国語対応の強化を図り、商機を逃すまいと躍起になっています。


旅行代理店などが行う調査でも、中国人が行きたい旅行先として、日本、タイ、オーストラリア、米国などが上位に挙げられており、特に日本の人気は急上昇中です。
円安、免税取扱商品の拡充、ビザ発給要件の緩和などが重なり、日本旅行はより身近なものとなっています。移動に要する時間が短いこともメリットです。
昨年1年間の訪日中国人旅行者数は240万人を超え、前年比83%増となりました。日本人の訪中旅行者数は減少に歯止めがかかっておらず、対照的な動きとなっています。


中国最大のオンライン旅行代理店Ctripによると、中国人の海外旅行者数(香港、マカオ、台湾を除く)で、昨年2014年に日本は韓国、タイに次ぐ第3位となりました。
Ctripの担当者は、日本旅行の魅力として、四季折々の風景、文化、グルメと安全性を挙げています。特に人気のスポットは東京の浅草寺と大阪の心斎橋だそうです。
円安で、日本向けツアーの料金は以前に比べ2割から3割下落しており、また春節などの連休時には国内の航空運賃や宿泊料金も急騰するため、「国内旅行よりも割安」ということでますます人気が高まっています。
日本でも、1980年代から90年代の円高時には、国内旅行よりも安いということで海外旅行がブームとなりましたが、まさに同様の現象が起きています。


ショッピングは日本旅行の大きな楽しみの一つですが、昨年10月からの免税対象商品の拡充により、これまでの電化製品、カメラ、時計や高級ブランド品に加え、食品、医薬品や化粧品の人気が急上昇しています。加えて、大型アウトレットモールの開業ラッシュも、中国人旅行客の増加に一役買っています。
最近日本を訪問した北京在住の女性は、病弱な母親のために、2万元(約38万円)相当の医薬品を購入し持ち帰りました。服用した母親の容態は快方に向かったそうです。
彼女は日本の魅力について、「清潔さと快適さ。特に街歩き中や洗面所(トイレ)を利用した際に実感する」と述べています。


調査機関の担当者は、観光、食事やショッピングに加え、日本には大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンやスキーリゾートなど、子供が楽しめるスポットも数多いため、家族旅行にも最適と述べ、今年の中国人訪日旅行客は昨年比3割程度の増加になると予想しています。
ホテル、商店、飲食店や観光スポットにとっては千載一遇のチャンスです。各地で中国人旅行客の争奪戦が繰り広げられることでしょう。


最近、北京から東京への航空券を購入しようとすると、北京朝出発、東京午後出発の便が以前よりも混雑しているのを感じます。
日本からのビジネス客や観光客は、通常この逆(東京午前発、北京午後発)を好むものと思いますので、明らかに北京からの旅客が増えています。空港や機内でも聞こえてくるのはほとんど中国語で、中国人客の増加を実感させられます。
再来週に迫った春節連休で日本を訪れる中国人旅行客には、是非日本での時間を満喫し、リピーターとなるよう、期待したく思います。


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コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所


マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト

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