第1回 「トレードの本質」と「メンタル」 【FXトレードの真髄】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第1回 「トレードの本質」と「メンタル」 【FXトレードの真髄】

本コラムは、2014年7月から9月に3回にわたって開催されたオンラインセミナー「FXトレードの真髄」における筆者の発言の内容を再構成してお届けするものです。第1回目の今回のテーマは「トレードの本質」と「メンタル」についてです。


トレードの本質を一言で言うと「情報の現金化」です。そのためトレードで成功するためには情報をどのように扱うかが重要になります。いきなり大きな話しになってしまいましたが、トレードで成功するために必要な要素は、次のように3つに分けて考えるとわかりやすいのではないでしょうか。1つ目は「メンタル」。これは精神を良い状態に保つことなのですが、実は情報を冷静に分析し判断するための要素です。2つ目は「スタイル」。これは自分なりのトレードの方法なのですが、実は膨大な情報を取捨選択するための要素です。3つ目は「スキル」。これはトレードの技量なのですが、実は情報を効率的に処理するための要素です。本コラムでは、これらの3つの要素を軸にして、「FXトレードの真髄」へ迫っていきたいと思います。3つの要素はスポーツなら「心、体、技」にあたります。


3つの要素のなかで最も重要な要素が「メンタル」です。なぜかというと、平和で穏やかな通常のマーケットは、決定的な損益を発生させないからです。決定的な利益や致命的な損失を発生させるのは、激しくプライスが動く異常時のマーケットです。その異常時のマーケットで冷静に情報を分析し判断するためにもっとも大事な要素がこの「メンタル」なのです。2014年に開催されたサッカーワールドカップの準決勝で、ブラジルがドイツに1-7という信じられない大差で破れ去ったのは、自国開催という異常にプレッシャーがかかる状況での「メンタル」の崩壊でした。高校野球の甲子園が人気なのも常にプレッシャーが異常にかかっている試合で「メンタル」の崩壊が頻発するからでしょう。これらに似たことが異常時のマーケットにおけるトレードでは頻繁に起こります。自分がトレードで負けたときの精神状態を思い出してみると、思い当たる節があるのではないでしょうか。もちろん筆者にもありますが、これは心で思い出すことにしましょう。よくトレードは難しい、簡単には勝てないと言われますが、それはトレードに必要な知識が難しいのではなく、異常時における「メンタル」のコントロールが難しいからなのです。

「メンタル」を良い状態に保つには3つの方法があります。1つ目は私生活の安定です。トレードとまったく関係のない話しになってきましたが、10年以上プロとして第一線でリスクを取り続けてきた筆者の偽らざる本音です。私生活の不安定が直接トレードの結果に反映しやすいところが、トレードが難しいと言われる所以なのです。2つ目は資金管理です。これは余裕をもって建玉するということに尽きます。資金という要素がトレードの判断に影響を及ぼし始めたときは危険信号でしょう。3つ目は休むことです。「休むも相場」とは良い格言で相当リスクを取った人が作ったのだろうなと思います。具体的には建玉がゼロの状態を年間に何回か強制的にでも作り出すことです。これにより精神状態を一度リセットすることができます。


「メンタル」はトレードで勝つための3つの要素の土台になるものです。これが疎かになっていると、他のすべての要素を兼ね備えていても信じられない敗北につながる可能性があるので、初回となる今回は特に強調させていただきました。もちろん「メンタル」は土台であって土台だけで勝てるわけではないので、次回以降「スタイル」、「スキル」の話しに進んでいきます。FXはそのあとに登場することになるでしょう。


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コラム執筆:高井 克実  トレード・サイエンス株式会社

1995年東工大卒。外資系証券会社等でディーラーとして活躍後、2013年トレード・サイエンス株式会社に入社、シグナルモデルの開発・運用に携わる。

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