第147回 英国逆襲?!利上げ期待復活と原油反騰でポンドに注目 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

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第147回 英国逆襲?!利上げ期待復活と原油反騰でポンドに注目 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

2015年に入って通貨安競争が激化、ECB(欧州)もすでにマイナス金利を導入していますが、スイスにデンマーク、スウェーデンとマイナス金利導入を決めており、「利上げ」バイアスにあるのは米国だけ、という状況が鮮明となっています。中央銀行の金融政策の違いは通貨動向には大きな影響を及ぼすため、米ドルだけが強い展開が続いていましたが、ここにひょっとするとイギリスが加わるかもしれません。私は今、英ポンドが大底を付けて反騰する可能性に注目しています。

イギリスは2014年夏場までは利上げが目されていたために、ポンド高が続いていましたが、賃金上昇率が鈍くインフレ率も低下してきたことから、利上げ期待が剥落する過程で、期待で買われていたポンドは年後半にかけて大きく売られる展開となりました。

しかし先週発表された「英四半期インフレリポート」を受けてポンドが上昇基調を強めています。「年内に利上げを実施する必要性は低いとの見方を示す一方、インフレ率が予想を超えてマイナス圏に低下した場合は利下げする用意があるとした」にもかかわらず、です。表面的には「ハト派」的な内容に見えますね。これを素直に受け止めるならばポンドは売られるはずですが、市場が注目したのは「原油安によるインフレ率低下は英経済の下押しには繋がらない」とした上で「最も可能性が高いBOEの次の行動は『利上げ』である」との見解を示したことでした。また、来年と再来年の成長率見通しを従来予想から引上げた事も相まって、これまで2016年にずれ込むと見られていた利上げ時期が、今年後半に早まるのではないか、という見方が一部に浮上したとみられます。また、15日(日)にはBOE(イングランド銀行)の金融政策委員会のウィール委員が、「BOEは市場予想より早期に利上げを開始する必要がある」との見解を示したことが伝わり、週明け16日(月)の為替市場ではポンドが強含む展開となりました。

対ドルで考えると、米FRBの利上げ時期が早ければ6月~9月と予想されているため、ポンドよりも米ドルの優位性の方が高いのですが、米ドルはこれまでも利上げの思惑で買われてすでに高くなっており、昨年夏場から半年以上もBOE利上げ思惑後退を材料に売られ続けたポンドの反転余地はそれなりに大きいかもしれません。

それから、ポンドドルのチャートと、北海ブレント原油のチャートの形状がそっくりであることにも注目しています。

というのも、イギリスは大量の石炭・天然ガス・原油を埋蔵しており、WikipediaによるとイギリスのGDPの10%はエネルギー製品が占めており、この値は先進国では最も高いものです。北海油田があるためですね。イギリスは1990年代に西ヨーロッパではノルウェーに次いで2番目の産油国となっているのです。またイギリスは世界第9位の原油輸出国でもあるため、昨年来からのポンドの下落は、利上げ期待の後退だけでなく原油価格の下落に連れた側面も大きかったとも言えるのです。

北海ブレント原油価格は昨年2014年6月の114ドル台から2015年1月に49ドル台まで下落しましたが、現在は60ドル台にまで反発しています。これに連れてポンド/ドルのチャートも反発を見せていることから、原油の反騰が続く中で、ポンドも大きく戻る可能性が大きくなってきたと見ることもできそうです。原油が大底を付けたかどうかはまだ確信が持てませんが、半年以上の期間をかけて半値以下にまで下げた価格の反動で相応の戻りを見せる可能性は高く、ポンドドルのチャートがこれに類似していることも、ここからのポンドの上昇の可能性を示唆するものと考えています。


コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

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