マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
本コラムは、2014年7月から9月に3回にわたって開催されたオンラインセミナー「FXトレードの真髄」における筆者の発言の内容を再構成してお届けするものです。第2回目の今回のテーマはトレードで成功するための3つの要素「メンタル」「スタイル」「スキル」の中の「スタイル」についてです。
「スタイル」は自分なりのトレードの方法です。これがなぜ重要かというとマーケットに関する膨大な情報を取捨選択するためです。これがないと、どの情報が重要でどの情報が重要でないか訳のわからない状態になってしまいます。すべての情報を処理できる人はいません。そこで自分なりの「スタイル」を決めることによって、どの情報に力を入れて見ていくかの指針にするのです。スポーツでいえば「心」「体」「技」の「体」に相当するのが「スタイル」です。持久力、瞬発力、パワーのすべてを求めるのではなく、自分に最も合った部分を伸ばしていこうという考え方です。どの情報を見ればよいかわからないという人は自分なりの「スタイル」が見つかっていないことが原因なのではないでしょうか。今回のコラムが「スタイル」を見つけるひとつのヒントになっていただければ幸いです。
「スタイル」を決める際に最も重要なことは自分の性格とトレードの「スタイル」を一致させることです。簡単なように思えますが、これが実は難しいのです。なぜなら自分の性格を正確に知っていないといけないからです。これもトレードは難しい、簡単には勝てないとされる隠れた理由のひとつです。自分の性格とトレードの「スタイル」が一致していないと、その「スタイル」の長所が発揮されず、短所ばかりが出てくことになるので注意しましょう。人それぞれに性格に合った職業があるようにトレードの方法についても人それぞれに合った「スタイル」があるのです。まず自分の性格にあった「スタイル」を選択しましょう。そして「スタイル」を決めたらそれを貫徹する。その上で年齢や経験で自分の考えが変わってきたら「スタイル」を変えることを恐れないことも大事です。では具体的にどのような「スタイル」があるのでしょうか。
最も一般的な「スタイル」は「順張り」と「逆張り」です。英語だと「トレンド・フォロー」と「カウンター・トレンド」と言います。「順張り」は上がっているものを更に上がると期待して買うという「スタイル」です。これに対して「逆張り」は、下がって安くなったものを反発すると期待して買う「スタイル」です。どちらの方が自分の性格に合っているでしょうか。「順張り」と「逆張り」が反対の性格を持つ「スタイル」であることはお気づきと思います。このように1つの「スタイル」には必ずその反対の性格を持つ「対抗スタイル」があります。まるで人間世界のようですね。具体的には「ファンダメンタル」と「テクニカル」、「絶対価値取引(ダイレクション・トレード)」と「相対価値取引(レラティブバリュー・トレード)」、「裁量売買」と「自動売買」などの相反する「スタイル」があります。紙面の都合上、これらの「スタイル」の説明は省かせていただきますが、それぞれの「スタイル」についてはインターネットや書籍で調べることができます。重要なのは「スタイル」の内容ではなく自分の性格に合った「スタイル」を選ぶということです。
「スタイル」の具体性についてはまだピンとこない人がいるかもしれません。そこで僭越ながら私の「スタイル」を公開したいと思います。私の性格は「ファンダメンタル」「相対価値取引」「逆張り」向きです。よって自分でタイミングやサイズを決める「裁量売買」をするときは「ファンダメンタル」の「相対価値取引」で「逆張り」のトレードをします。「順張り」を行うときは「テクニカル」の「絶対価値取引」で「自動売買」を使ったトレードをすることで性格の弱点を補完しています。「自動売買」は複雑なものもありますが、「順張り」を行うときによく使われる逆指値も広い意味では「自動売買」です。
一般的に重要とされる米国雇用統計や日銀政策決定会合などの情報は「ファンダメンタル」の「スタイル」の人には重要な情報になりますが、「テクニカル」の「スタイル」の人には重要な情報にはなりません。「スタイル」を選択すれば、自分にとっての重要な情報がわかってきて、情報の取捨選択ができるようになってくるでしょう。「順張り」と「逆張り」、「ファンダメンタル」と「テクニカル」のどちらが自分に向いているかをわかってきたらしめたものです。これだけで必要な情報は半分になるでしょう。次回は「スキル」についてです。
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コラム執筆:高井 克実 トレード・サイエンス株式会社
1995年東工大卒。外資系証券会社等でディーラーとして活躍後、2013年トレード・サイエンス株式会社に入社、シグナルモデルの開発・運用に携わる。
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