第3回　トレードで成功するための3つの要素　「スキル」　【FXトレードの真髄】

本コラムは、2014年7月から9月に3回にわたって開催されたオンラインセミナー「FXトレードの真髄」における筆者の発言の内容を再構成してお届けするものです。第3回目の今回のテーマはトレードで成功するための3つの要素「メンタル」「スタイル」「スキル」の中の「スキル」についてです。

「スキル」とは、トレードの技量のことです。「スキル」を身につける目的は、情報処理を効率的に行うことにあります。具体的には、トレードの検討時間の短縮です。トレードの検討は、マーケットが動いているわけですから、時間無制限に行えるわけではありません。そこで、パターン化できるものはパターン化して処理することで、トレードの検討時間が大幅に縮小できます。スポーツでいえば「心」「体」「技」の「技」に相当するのが「スキル」です。パターン化できるものは体に覚え込ませて、考えずとも手足が動く状態を目指す考え方です。

「スキル」の習得に必要なのは、実践です。スポーツでいえば体に覚え込ませるわけですから、何度もマーケットで実際に建玉して覚えていくのが一番の早道です。しかしながら習熟の最中に大きな損失を出す、という状況は何としても避けなくてはなりません。それを回避する方法としては、デモ口座での練習、最小サイズでの実口座での練習とステップを踏んでいくのが良いと思われます。取引のサイズは小さくとも「スキル」は習得していけますので、無理をしないで怪我をしないように実践を積んでいくことをお勧めします。繰り返しになりますが、サイズは小さくとも「スキル」は習得していけます。

トレードの「スキル」は大きく3つの要素に分けられます。「値段」「時間」「量」の3つです。

「値段」はトレードする対象のプライシング、「時間」はトレードするタイミング、「量」は取引する量のサイジングです。この3つの「スキル」のなかで、レポートやセミナーなどで一番露出が多いのは、「値段」についての「スキル」です。そして、盲点になりやすいのが、「時間」と「量」についての「スキル」です。「トレードは、タイミング(時間)とサイジング(量)」と言われますが、これは、これらの2つの要素がプライシング(値段)と比較して盲点になりやすいことを意味している格言です。「値段＝プライシング」の検討の比重が大きすぎて、「時間＝タイミング」や「量＝サイジング」の検討が疎かになったことはないでしょうか。特に「量＝サイジング」は、当コラムの第一回でお話しした「メンタル」に直結するので重要です。

具体的な「スキル」はたくさんあるのですが、重要なのはそれぞれの「スキル」が前回お話した「スタイル」と密接に関係しているということです。また「スキル」と「スタイル」を混同すると混乱の原因になります。ここでは具体的な3つの「スキル」を例にして説明したいと思います。

1つ目は「ブレイクアウト売買」という「スキル」です。これは高値を上回ったら買い、安値を下回ったら売りで仕掛ける「値段＝プライシング」の「スキル」になります。このパターンを決めておくことで、検討の時間を短くできる「スキル」になります。考えずとも高値を超えたら買いに行くという「スキル」なのですが、この「スキル」は「順張り」「テクニカル」という2つの「スタイル」に属しています。

2つ目は「レンジ売買」という「スキル」です。これはレンジを想定してレンジの下限に近付いたら買い、上限に近付いたら売りという「値段＝プライシング」の「スキル」になります。考えずともレンジを想定して売買するという「スキル」なのですが、この「スキル」は「逆張り」「テクニカル」という2つの「スタイル」に属しています。

3つ目は「経済指標の予想比をみて売買」する「スキル」です。これは発表された経済指標が予想より強くかつマーケットが上がっていたら買いで仕掛ける「スキル」で、「時間＝タイミング」と「値段＝プライシング」の2つの要素が入っています。属している「スタイル」は「順張り」「ファンダメンタル」の2つです。

「スキル」の知識や習熟はもちろん大事なのですが、その「スキル」が属する「スタイル」が自分の性格に合っているかの方がより重要です。「体」に合った「技」の習得を目指すという考え方です。

トレードで成功するための3つの要素「メンタル」「スタイル」「スキル」についてお話してきました。この3つの要素を身につければ、新聞やインターネットなどのマーケットの情報が格段に整理されるのではないでしょうか。この整理が曖昧だと今後の話しも曖昧になってしまうので、具体的なFXの話しに入る前にコラム3回分を使わせていだたきました。次回はFXの世界に入ります。

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コラム執筆：高井 克実　　トレード・サイエンス株式会社

1995年東工大卒。外資系証券会社等でディーラーとして活躍後、2013年トレード・サイエンス株式会社に入社、シグナルモデルの開発・運用に携わる。