マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
中国で、外国人駐在員が多く住む都市と言えば、やはり北京、上海、広州、深圳などの大都市が思い浮かびます。
在留邦人については、駐在員のほかその家族、留学生、自営業者や中国人の配偶者等を含む数字になりますが、上海に約5万人、また北京には約1万人が居住していると言われています。
金融関係者は、北京のほか、証券取引所がある上海、深圳などに集中していますが、メーカーや商社などの駐在員は、内陸部などかなり辺鄙な地域にも居住しています。
気候、生活環境ともに厳しいものがあるのではと想像されます。
出版社と研究機関が、昨年7月から12月にかけ、中国各地に居住する外国人駐在員20,000人を対象に、各都市の外国人に対する法規制、生活環境や執務環境等などの10項目についてアンケート調査を行い、主要10都市の人気ランキングをまとめました。
結果は以下の通りとなりました。
1位 上海市
2位 北京市
3位 深圳市(広東省)
4位 天津市
5位 青島市(山東省)
6位 杭州市(浙江省)
7位 広州市(広東省)
8位 蘇州市(江蘇省)
9位 厦門(アモイ)市(福建省)
10位 昆明市(雲南省)
この調査は今回が5回目で、5回中3回で上海市が一位となりました。中国における金融、経済の中心地ですので、当然の結果ではあります。
調査対象の10項目中、上海市は食生活、起業環境、都市の洗練度、人間味、寛容度及び革新性の6項目で一位でした。
トルコの銀行の上海事務所に勤務する59歳の男性は、上海での生活が20年近くになるそうで、利便性、外国人に対するオープンな姿勢や柔軟性を長所として挙げ、上海をとても気に入っていると述べています。政府機関の透明性や効率的なビジネス環境についても高く評価しています。
多くの項目で上海市が高い評価を得ている一方で、改善を望む声も多く聞かれます。
調査では、大気汚染、水質汚染、政府機関のサービス、公共交通システム等に関する不満あるいは不安の声が聞かれています。
また、医療保険制度や、中国入国ビザ及び就労許可の取得について、規制の緩和を求めるとの意見も多く見られました。
調査機関の研究者は、中国の都市が外国人駐在員にとってより魅力的となるためには、医療保険やビザ等、制度面での改革が重要と指摘しています。
今回、ランキングの対象となった10都市は、それぞれ特徴があり、外国企業や駐在員にとっても魅力的なところばかりですが、今後発展が見込まれる都市としては、中国政府が力を入れている内陸部の開発を追い風とする成都市(四川省)が挙げられます。
日本からの航空便が就航しており、日系の百貨店やスーパーマーケットもあるため、日本人にとっての生活環境も改善されているそうです。ジャイアントパンダや景勝地の九寨溝など、観光資源も豊富です。九寨溝は私も是非訪れてみたいのですが、航空券、ホテルとも大変高価で、ちょっとためらってしまいます。
アジアでは、東京、上海、香港、シンガポールなどが、国際ビジネスの中心地となるべく、外国企業の誘致を競っています。
東京は、居住環境などの点では高い評価を得ている一方、法人税率が高く、また政府の許認可等が煩雑で透明性を欠いているとの問題も指摘され、ライバルの都市に対し、このところやや劣勢と伝えられています。
優秀な人材の供給という点では、ベースの大きな中国に利がありますので、政治面での透明性が高まり、また経済成長の鈍化に歯止めがかかれば、中国の主要都市が一段と存在感を高めるものと予想されます。
今回は中国主要都市の人気ランキングでしたが、日本の先行きが少し心配になってしまいました。
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コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所
マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト
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