第5回　トレードの本質とFXマーケットの特徴　【FXトレードの真髄】

本コラムは、2014年7月から9月に3回にわたって開催されたオンラインセミナー「FXトレードの真髄」における筆者の発言の内容を再構成してお届けするものです。第5回の今回は、第1部「トレードの本質とFXマーケットの特徴」のまとめです。今後は第2部「高値と安値の意味を知る」、第3部「経済指標と要人発言の意味を知る」のテーマで進んでいきます。株式や債券などのトレードにも応用できる内容なので、参考にしていただければ幸いです。

第1部は、トレードの本質を「情報の現金化」とすることからスタートしました。ここまでの内容を簡単に復習してみましょう。トレードで成功するためには、マーケットの情報をどのように処理するかが重要です。本コラムは、情報処理をうまく行うために、スポーツでいう「心」「体」「技」に相当する「メンタル」「スタイル」「スキル」という3つの要素を軸にして、「FXトレードの真髄」に迫っていく構成になっています。

「メンタル」は、情報を冷静に分析して判断するための土台です。トレードを成功させるための土台をしっかりと構築するためのポイントは、私生活の安定にあります。「スタイル」は、情報を取捨選択して、自分なりのトレードの方法を見つけることです。トレードを成功させるための「スタイル」を見つけるポイントは自分の性格に合った「スタイル」を選択することです。「スキル」は、情報を効率よく処理するためのトレードの技量です。具体的には検討時間の短縮です。トレードを成功させるための技量を身につけるポイントは、実践を繰り返して技量を習得していくことです。「スキル」は更に「値段＝プライシング」「時間＝タイミング」「量＝サイジング」の3つの要素に分かれています。

このように整理して考えると、FXに関する記事やレポートなどの内容もよくわかるのではないでしょうか。そしてここまでの復習は、次回から始まる第2部と第3部につながっていきます。

第2部のテーマである「高値と安値の意味を知る」は、「テクニカル分析」という「スタイル」に属する、「値段＝プライシング」の「スキル」に関する内容になります。トレードのターゲットになるプライスについての説明です。そして、第3部のテーマである「経済指標と要人発言の意味を知る」は、「ファンダメンタル分析」という「スタイル」に属する、「時間＝タイミング」の「スキル」に関する内容になります。トレードのターゲットになるタイミングについての説明です。この２つのプライスとタイミングについての「スキル」が「FXの真髄」である、と言っても過言ではありません。これらの「スキル」を整理して説明するために、第1部でトレードの基礎についての話しをさせていただきました。

第1部の最後に、「量＝サイジング」に関する「スキル」の話しをしたいと思います。
紙面の都合上、詳しくはお話できないのですが、一般的な方法としては次のような「スキル」があります。

まず、年間の撤退額を決めます。100万円の資金なら20％の20万円の損失が出た時点でその年のトレードをストップする、という「スキル」です。例えば、1月からスタートして1月にその損失が出たら、その後の11カ月は取引をしない、という厳しい考え方です。

さらに、月間の撤退額を決めます。100万円の資金なら、5％の5万円の損失が出た時点で、その月のトレードをストップする、という「スキル」です。月の初日にその損失が出たら、その月はもう取引をしない、という厳しい考え方です。

この2つの「スキル」は厳しいがゆえに１回の取引の「量＝サイジング」を厳しく考えることにつながります。仕掛けや手仕舞いを、プライスで分散させる「スキル」も、時間で分散させる「スキル」も、1回の取引でリスクを取り過ぎて、月間や年間の撤退額に達しないようにするためのリスク分散です。

年間と月間の撤退額から、1回の取引の取引サイズを逆算する、という「スキル」が資金管理の基本になりますので、どのように取引のサイズを決めたら良いかわからない、という人は是非ご参考ください。取引を自らストップするのは悔しいですし、取り返したい気持ちもよくわかります。しかし、マーケットがある以上、生き残っていれば取り返すチャンスはあります。少し間を開けて冷静になってからトレードを再開した方が良い、という先人の知恵と経験が生み出した「スキル」だと思います。

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コラム執筆：高井 克実　　トレード・サイエンス株式会社

1995年東工大卒。外資系証券会社等でディーラーとして活躍後、2013年トレード・サイエンス株式会社に入社、シグナルモデルの開発・運用に携わる。