マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
本コラムは、2014年7月から9月に3回にわたって開催されたオンラインセミナー「FXトレードの真髄」における筆者の発言の内容を再構成してお届けするものです。
第6回の今回から、第2部「高値と安値の意味を知る」をスタートします。第1部と同様に、株式や債券などのトレードにも応用できる内容なので、参考にしていただければ幸いです。
第2部では、「テクニカル分析」という「スタイル」で「高値と安値」という情報を選択します。「高値」とはチャートを描いたときに、山の頂点になるプライスのことです。「安値」とはチャートを描いたときに、谷の底になるプライスのことです。過去に形成された山の頂点や谷の底のプライスは、FXのマーケットでは取引の格好の目標になる傾向があります。その傾向を使った「高値と安値」という「スキル」を使うことでマーケットの情報処理を効率化できます。具体的には、仕掛けと手仕舞いのプライスの検討時間を短縮できます。
「スキル」の構成要素は、3つあります。「いつ?」という「タイミング=時間」。「いくらで?」という「プライシング=値段」。「どれくらい?」という「サイジング=量」。
「高値と安値」は、FXのプライシングの基礎となる「スキル」です。トレードの目標となるプライスを理解して身につけることが第2部の目標です。
マーケットには、「レンジ相場」と「トレンド相場」という2つの状態が存在します。「高値と安値」を説明するには、まずこの2つ状態が正確に理解されていないといけません。この2つの状態がわかっていないと、マーケットのほとんどの話しは、ちんぷんかんぷんになるでしょう。新聞やネットの記事でも、当たり前のようによく見かける言葉なのですが、ものすごく重要な概念です。わかっている、という前提で書かれている記事も多いようですので、第2部の導入として、これから説明します。
「レンジ相場」と「トレンド相場」を図に表すと以下のイメージ図のようになります。
マーケットは「レンジ相場」と「トレンド相場」の繰り返しです。「レンジ相場」が極まれば「トレンド相場」が始まり、「トレンド相場」が極まれば「レンジ相場」に戻るという傾向があります。
「レンジ相場」の特徴は以下の4つです。
ここで重要なのは、「レンジ相場」の始まりと終わりは、事前にわかるものではないということです。始まりに関しては、それまで続いてきた「トレンド相場」の方向が止まって一定の時間が経過してから、事後的にレンジ相場だとわかります。終わりに関しては、それまで続いてきた「レンジ相場」のレンジをプライスが明確に放れることによって、事後的にわかります。プライスのレンジは一定ですが、始まりのプライスと終わりの時間がわからないという意味で、「レンジ戦略」は万能ではありません。
「トレンド相場」の特徴は以下の4つです。
ここで重要なのは、「トレンド相場」の始まりと終わりは、事前にわかるものではないということです。始まりに関しては、それまで続いてきた「レンジ相場」のレンジを明確に放れるプライスの動きがあってから、事後的に「トレンド相場」だとわかります。終わりに関しては、それまで続いてきた「トレンド相場」の方向が止まって一定の時間が経過してから、事後的にわかります。プライスの方向は一定ですが、始まりの時間と終わりのプライスがわからないという意味で、「トレンド戦略」は万能ではありません。
「レンジ相場」において有効な逆張りの「レンジ戦略」と「トレンド相場」において有効な順張りの「トレンド戦略」は、互いに相容れない本質を持っています。
「レンジ戦略」は、値幅をあきらめて、時間で儲けることを狙う戦略です。これに対して「トレンド戦略」は、時間をかけずに、値幅で儲けることを狙う戦略です。「レンジ相場」が長く続けば、「レンジ戦略」の天下です。「トレンド戦略」は瀕死の状態になるでしょう。一方で、「レンジ相場」が短命で、「トレンド相場」で大きな値幅が出れば「トレンド戦略」の天下です。「レンジ戦略」は瀕死の状態になるでしょう。
これらの互いに相容れない2つの戦略がマーケットでぶつかる時、買いと売りがぶつかりあう戦いが起きます。次回は、その戦いの背景となる「高値と安値」が持つファンダメンタルの意味とその戦いの結果として生じる「ブレイクアウト」という状態について説明します。
=====================================
コラム執筆:高井 克実 トレード・サイエンス株式会社
1995年東工大卒。外資系証券会社等でディーラーとして活躍後、2013年トレード・サイエンス株式会社に入社、シグナルモデルの開発・運用に携わる。
マネックスからのご留意事項
「特集2」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。
商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。