第7回 「高値と安値」と「ブレイクアウト」 【FXトレードの真髄】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第7回 「高値と安値」と「ブレイクアウト」 【FXトレードの真髄】

本コラムは、2014年7月から9月に3回にわたって開催されたオンラインセミナー「FXトレードの真髄」における筆者の発言の内容を再構成してお届けするものです。

FXマーケットにおいて、「高値と安値」という用語は様々な場面で使われます。第7回の今回はいよいよ「高値と安値」の中核の部分に入っていくので、今後このコラムで使う用語としての「高値」と「安値」を定義します。「高値」は、「レンジ相場」の状態で、レンジの上限になるプライスとします。「安値」は、「レンジ相場」の状態で、レンジの下限になるプライスとします。この定義は、テクニカル分析における基礎的な定義でしかないのですが、「高値と安値」というトレードの「スキル」が、FXプレイヤーから幅広い支持を得ている理由は別にあるのです。

多くの「高値と安値」は、ファンダメンタルで説明できます。「高値」は、マーケットが強い上昇となるような、ファンダメンタルのニュースが出たときの限界到達点として形成されます。具体的には強い経済指標の発表やサプライズとなる要人発言などで、マーケットが急激に上昇したときの限界到達点です。従って、そのファンダメンタルのニュースは、結果として形成された「高値」の理由になります。日足や週足などの長いスパンのチャートで目立つ「高値」のほとんどは、ファンダメンタルから説明できるものです。試しに、日足のチャートの「高値」のファンダメンタルの理由を探してみましょう。(図1)
たいていの「高値」は、経済指標や要人発言、あるいは株や債券の大きな動きによって形成されているはずです。「安値」は逆に、弱い材料になります。慣れないうちは、「高値」と「安値」が形成された理由をチャートに書き込んでいくと、チャートが生き生きとしたものになってくるでしょう。

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テクニカル分析なのに、形成の理由からファンダメンタルの背景も確認できる、という特徴が「高値と安値」に幅広い支持が集まる理由です。

次に「ブレイクアウト」という状態を説明します。「レンジ相場」と「トレンド相場」の境界に「ブレイクアウト」というマーケットの状態が存在します。「レンジ相場」のレンジを形成する「高値」をマーケットが突破して、「トレンド相場」に突入する状態です。「安値」の場合は反対の動きになります。「ブレイクアウト」は元々軍事用語で、「包囲網を突破する」という意味からきています。レンジ戦略軍団の包囲網をトレンド戦略軍団が突破するイメージです。ただし突破は成功することもあれば、跳ね返されて失敗する場合もあります。(図2)

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ブレイクアウトの特徴は以下の4つになります。

・突破は成功する場合もあれば、失敗する場合もある

・成功と失敗は事前にはわからず、事後になってわかる

・突破の成功は、「トレンド相場」の開始と「レンジ相場」の終了を意味する
・「高値と安値」同様に、ファンダメンタルの理由づけができる。

「ブレイクアウト」というマーケットの状況の考え方も、多くのFXのプレイヤーに支持されています。4つ目の特徴のファンダメンタルの理由づけができるという点が、「テクニカル分析」でありながら、「ファンダメンタル分析」の「スタイル」の参加者も引きつけて幅広い支持を受けている理由です。

「高値と安値」、「ブレイクアウト」の具体例として、2012年11月15日のドル/円の上方向への「ブレイクアウト」をファンダメンタルの材料を書き込んだチャートでみてみます。(図3)

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2012年6月25日の消費税政局で形成された「高値=80.61」を、11月14日の衆議院の解散決定で「ブレイクアウト=突破」するという、とても理にかなった動きになっています。消費税政局が衆議院の解散で突破されたことになるので、政治の動きをマーケットで説明することもできます。また、10月に一度突破に失敗して、11月の衆議院解散決定という具体的な材料が出たところで突破に成功している動きも、具体的なファンダメンタルのニュースでマーケットは動くという「ファンダメンタル分析」の参加者を納得させる動きでしょう。

次回は、「高値と安値」、「ブレイクアウト」、「レンジ戦略」、「トレンド戦略」の関係を整理します。


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コラム執筆:高井 克実  トレード・サイエンス株式会社

1995年東工大卒。外資系証券会社等でディーラーとして活躍後、2013年トレード・サイエンス株式会社に入社、シグナルモデルの開発・運用に携わる。

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