第156回 2015年Sell in Mayリスクはあるか 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第156回 2015年Sell in Mayリスクはあるか 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

来週からGWですね。2010年はフラッシュ・クラッシュと呼ばれるダウ平均株価1000ドル下落現象から為替市場も暴落へ。2011年のGWはギリシャのユーロ離脱の噂など欧州問題がある中で、アメリカのQE2終了への警戒などからコモディティ、株価が下落開始。2013年は5月22日にバーナンキ前FRB議長がテーパリング示唆で、日経平均は5月23日の15942円から6月13日の12415円までおよそ3週間に3527円もの下落となったことが記憶に新しいですね。この時ドル円相場はわずか半月の間に103円台から93円台まで10円も下落しています。昨年2014年の4~5月も株価は下落基調にあり、例年この時期は株価下落、円高リスクが高まるため警戒が高まりますが、今年はどんなリスクが潜んでいるでしょうか。


①24日/EU財務省会合
ギリシャがデフォルトするか否かの決断が下される可能性も。ギリシャの国庫は4月20日には空になるとの関係者の話も浮上しています。ギリシャ金融支援について4月24日に開催されるユーロ圏財務相会合で、支援条件である経済改革について合意することを目指していますが、現状では合意の見込みが薄いとされており次回会合5月11日まで協議が続く可能性も出てきました。そんな中、ギリシャはデフォルト宣言の準備に入っているとも伝えられており、24日の財務相会合に向けてはギリシャの動向に注意が必要です。今週はリスクテイクポジションを手仕舞う動きが加速しそうです。


②29日/米1-3月GDP
米国の2014年第4・四半期のGDP確報値は、年率換算で前期比+2.2%でしたが、第1四半期GDPは、大幅悪化となりそうです。予想外に弱い内容となった2月の米耐久財新規受注統計、GDPの集計に用いる重要指標の一つである3月の小売売上高のおよそ5年半ぶりの低い伸びで、金融機関の予想が軒並み下方修正されています。バークレイズの推計では+1.1%。JPモルガンは+0.6%まで落ち込むと予想を下方修正。2015年の成長率の失速は、FRBによる政策金利の引き上げのタイミングを巡っての思惑が交錯することとなると思われ、為替相場にも影響する可能性は大きいでしょう。


③30日/日銀の金融政策決定会合 
アベノミクスの「仕掛け人」とされる自民党の山本幸三衆院議員が1日、ロイターのインタビューで、日銀による追加緩和のタイミングについて「展望リポートが公表になる4月30日会合が良いタイミングだ」と指摘したことで日銀の追加緩和期待が高まりました。4月10日の日経平均株価の2万円達成もこの発言が海外投資家の期待を高めことに起因しているかもしれません。もし、期待に応えることなく現状維持となれば、失望からの手仕舞い売りが出るリスクも想定しておきたい局面です。
しかし、こうした予測出来るリスクでは意外と相場は下げないかもしれません。市場が想定出来るリスクというのは、事前に回避、あるいはヘッジされるからです。どれもドラスティックな下落に繋がる材料ではないので、過度に警戒する必要はないと思いますが、ただ、この時期はヘッジファンド勢による換金売りが入りやすく注意が必要とされていますので、例年書いているのですが最後に「Sell in May」が起こりやすいのは何故か、という話題を。


アメリカの多くのヘッジファンドは解約できる時期が決まっており、その多くは4半期毎で3月、6月、9月、12月の月末に設定されています。解約をするためには45日前に解約の旨を通知しなければならないという規定があり、ファンドは解約の通知があればそれに応じてキャッシュを投資家に返さなくてはならないため、市場でポジション解消に動きます。これ以上の上昇が見込めない、あるいは下落するだろう、というリスクを警戒した投資家はヘッジファンドの解約を申し入れることが予想されることから、2月15日・5月15日・8月15日・11月15日は注意を要するとされています。おおよそ、10日前くらいから相場は動き始める事が多いと言われていますので4月末から5月半ばにかけては注意が必要ということになりますね。


加えてアメリカのヘッジファンドは6月中間決算・12月本決算のファンドが多いため、決算の数字を良く見せようと、5月中に利食いを入れるとも指摘されています。このケースだと今後の相場観とは関係なしに利食えるものは利食ってきますから、これまで高かったものが下落するリスクが高まる時期に入るとも言えます。逆にこれまで売り込んでいたモノがあれば買い戻すということで、ショートカバーも起こりやすいとも言えますね。こうしたリスクは例年のことであり、特に今年特有の材料ではありませんが、5月に売れ、というのはこうした背景に起因していると考えられます。株が下落すればドル円相場にも下落リスクが高まります。というような背景もあるので、やはりここからはリスクポジションは控えめにしたいと考えています。


コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

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