マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
本コラムは、2014年7月から9月に3回にわたって開催されたオンラインセミナー「FXトレードの真髄」における筆者の発言の内容を再構成してお届けするものです。
ファンダメンタル分析の材料になる「経済指標と要人発言」ですが、発表時間がわかっているという意味では、テクニカル分析の側面を持っています。2014年9月1日の時点の米ドル/円のチャートで、右側のスペースに「経済指標」の発表時間を書き込んでみましょう。(図1)
9月4日 20:45に発表されるECB政策金利と、9月5日21:30に発表される米国雇用統計が、迫ってきていることがわかります。「経済指標」の発表時間をチャートに書き込むことで、「経済指標」には発表時間という時間の情報を扱う、「テクニカル分析」の側面があることがわかります。
次に、2014年8月から、2014年9月9日までの動きに、第6回から第9回までのテーマだった「高値と安値」の情報を書きこんだチャートをみてみましょう。(図2)
グリッド(縦や横の補助線)が何もないチャートが、必要な情報の線とコメントを書き込むだけで、具体的にマーケットを説明できるチャートになりました。
「経済指標と要人発言」の特徴は、以下の4つです。
主要な「経済指標と要人発言」の予想は、世界中のアナリストやエコノミストが事前に公表しています。その予想が外れた場合の「サプライズ」の例をみてみましょう。「サプライズ」とは、マーケットの参加者の驚きを意味するマーケット用語です。(図3)
図3の例では、3つのすべての「サプライズ」が市場参加者の大きな驚きと共にマーケットに大きな影響を与えたのですが、それをどのように整理すれば良いのでしょうか。
「サプライズ」は、「レンジ相場」と「トレンド相場」の転換や継続の説明に使われます。次の4つのパターンがありますので、それぞれ図を使って説明していきます。
(図4-①)は、予想外の経済指標が発表されて、「レンジ相場」が終了し、「トレンド相場」が始まったイメージ図です。この例では、「経済指標」を使っていますが、「経済指標と要人発言」は、予想外の「サプライズ」をきっかけにして、「トレンド相場」の出発点になる可能性を持っています。2012年の日本の衆議院解散や、2014年9月の欧州中銀(ECB)の利下げはこのパターンです。
(図4-②)は、予想外の経済指標が発表されて、「トレンド相場」が終了し、「レンジ相場」が始まったイメージ図です。上昇相場の前提となるファンダメンタル分析の前提が崩されるような、「サプライズ」の有った経済指標が発表された例になります。このように、「経済指標と要人発言」は、予想外の「サプライズ」をきっかけにして、「トレンド相場」の終着点になる可能性を持っています。2014年1月の米国雇用統計は、このパターンになります。
(図4-③)は、予想の範囲内の経済指標が発表されて、「レンジ相場」が継続するイメージ図です。ファンダメンタル分析の前提が崩されない、「サプライズ」の無かった経済指標が発表された例になります。「経済指標と要人発言」は、「サプライズ」の有無によって「レンジ相場」の継続の可否を判断する時間の節目になっています。
(図4-④)は、予想の範囲内の経済指標が発表されて、「トレンド相場」が継続するイメージ図です。「レンジ相場」と同様に、「経済指標と要人発言」は、「サプライズ」の有無によって「トレンド相場」の継続の可否を判断する時間の節目になっています。
4つのパターンで最も重要なのは、(図4-①)の「レンジ相場」から「トレンド相場」への転換です。
「トレンド相場」は、第7回で説明した「ブレイクアウト」が成功することで始まるのですが、「経済指標と要人発言」で予想外の「サプライズ」が起こると、それをきっかけにして「ブレイクアウト」に発展する可能性があるのです。(図5)
このパターンが起こる可能性のある時間が、事前にわかっているのが、「経済指標と要人発言」のポイントです。
次回は、「レンジ戦略」と「トレンド戦略」に、「サプライズ」が与える影響を考察することから、より具体的な「スキル」の話しを進めていきます。
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コラム執筆:高井 克実 トレード・サイエンス株式会社
1995年東工大卒。外資系証券会社等でディーラーとして活躍後、2013年トレード・サイエンス株式会社に入社、シグナルモデルの開発・運用に携わる。
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