マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
先週から今週にかけて日本株式市場では、日経平均株価が7日続伸となる強さを見せ2万円の大台を値固めしつつありますが、市場の話題だったのが米大手ファンド、ブラックロック傘下のブラックロック・ジャパンが、東芝や東京エレクトロン、みずほやマツダなど8社の大量保有報告書を関東財務局に提出したこと。日銀や年金が支えてきた管制相場とも言われてきましたが、世界最大の資産運用会社であるブラックロックがしっかりと日本株を買っていたことが明らかとなったのです。
このようなニュースは今後の日本株強気見通しにも大きな後ろ盾となります。ブラックロックというのは「グローバルマクロ系」ファンド。グローバルマクロというのはヘッジファンドの投資手法のひとつで、世界中の国や地域の主要経済トレンドや政治的見通しを重視し、各国の経済、金利、為替などのマクロ指標の予想に基づき機動的にグローバルな投資を行う運用で、グローバルに株式、債券、通貨、先物など様々な投資対象についてロングおよびショートポジションを取っています。マクロのシナリオ に基づく金利商品や株式インデックス、為替への投資を活動の中心としているとされ、相場に特定方向の「トレンド」を見出しにくい局面では、債券などからの金利収入を確保しようとする傾向が強いのが特徴です。しかし、相場に特定方向のトレンドが生じるようなシナリオを描きやすい局面では積極的にポジションを積み重ねていくスタイルとされています。
為替専門のニュースにも「マクロの買いが出た」や「モデル系の売りが散見された」と言う表現を使った記事を見かけこともあるかと思います。
こうしたニュースは、どのように解釈し参考にすればいいでしょうか。それを知る上では、これらのファンドがどういうトレードの特徴があるかを知っておく必要があります。
マクロ系ヘッジファンド
先述したグローバルマクロファンドですが、FXニュースでは「マクロ系」と表現して伝えていることも多いようです。例えば、キャリートレードと言って、金利の安い通貨を売って金利の高い外貨を購入すると言うような政策金利の違いからの大局の相場を取るというようなトレードスタイルで、比較的長期運用のイメージです。トレンドフォロー型(トレンドに乗る投資スタイル)で、高いところでも買ってきますし、安いところでも売ってくるというようなしつこいポジショニングが特徴です。
モデル系ヘッジファンド
主にテクニカル分析を元に数学的に相場を分析したり、投資家の投資傾向や心理状態なども考慮したアルゴリズムトレードと言う手法でシステム投資を行っています。相場の偏りや歪みを発見しては、その歪みを是正する方向にポジショニングするというようなトレードスタイルですので、短期での売買を行う事が多いのが特徴です。短期的に相場を暴力的に追い込むような動きを見せたかと思うと、今度は真逆にひっくり返して一気に反対方向へと動かすようなトレードを行う事も。
「マクロ系の買いが入った」と言うニュースを目にした場合は、息の長い投資をするヘッジファンド勢が買い目線であるということですので、現在のトレンドの確認がしやすいですね。マクロ系が、いくらで買ったのか」に注目して、相場が再びそのレベルまで落ちてきたら買ってみる、という同じ方向でのポジションを取ってみるというのも一つの考え方です。
逆に「モデル系の買いが見られた」というニュースを目にした場合は、気を付けてください。コンピューターに組み込まれたアルゴリズムトレードが主流の時代。トレードが速い為、個人投資家の目に触れるニュースになっているころには、真逆のポジションになっているかもしれません。モデル系のポジション動向は参考にはならないということです。
コラム執筆:大橋ひろこ
フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。
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