第52回 「ドローン」を読み解く 【市場のテーマを再訪する。アナリストが読み解くテーマの本質】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第52回 「ドローン」を読み解く 【市場のテーマを再訪する。アナリストが読み解くテーマの本質】

みなさん、こんにちは。『今どき、株で儲けるヤツは、「業種別投資法」を使っている』著者の長谷部翔太郎です。先々週、東証1部の時価総額が591兆円を上回り、実にバブル期頂点であった1989年以来25年ぶりに過去最高を更新しました。225銘柄から成る日経平均株価はまだ最高値の約半分の水準ではありますが、上場会社数が増加したことに加え、上場企業の業績も過去最高を更新するといったファンダメンタルズの好調さを反映した結果となっています。バブル時代を知る者としては(年齢がバレますが)、まさに感慨深いものがあります。最近は同様に、何年ぶりという表記が目立ってきたように思います。為替も8年ぶりの円安水準、日経平均株価は15年ぶりの2万円台回復、といった具合です。アベノミクス相場は明らかにこれまでの「失われた20年」を取り戻す流れにあると言えるでしょう。果たして、日経平均が過去最高(3万8,915円)を越えるはいつになるのでしょうか。なんとか筆者が現役のうちに、日経平均の高値更新は見てみたいものです。

さて、今回は「ドローン」をテーマに採り上げたいと思います。ドローンとは小型の無人飛行機の総称で、基本的に遠隔操作やGPSを用いたコンピュータ制御によって操作・飛行します。ラジコン飛行機もその一つと言えますが、ドローンは自動飛行可能なモノを指すケースも多く、両者は別のものと認識されているのが一般のようです。このドローンは、2013年に世界的な通販大手であるアマゾン・ドット・コムが商品配送サービスに用いる構想を明らかにしたことで一気に注目されることになりました。現在は様々な企業がこのドローンの商業利用に名乗りを上げています。ドローンは元々軍事用途が主でしたが、近年は中小型のものによる空撮や上記のような配送といった商業用途が注目されています。無人であるために人件費コストや人的安全性面でメリットがあるうえ、空路を採ることでより効率的かつ迅速な目的地到達への期待も大きいものがあります。当然ながら、現時点では思いつかない使途も、使用が一般化するにしたがって広がっていく可能性も大と考えるべきでしょう。総じて、大きなポテンシャルを持ったシステムと位置づけることができます。

その一方、問題点も山積です。先日も首相官邸にドローンが落下した事件がありましたが、軍事用途としても使用できることを考えれば、治安上の問題は無視できません。空撮もプライバシーを侵害する恐れがあります。ドローンの数が増えれば、空中での(偶発的、場合によっては悪意による意図的)事故のリスクもあるでしょう。また、これは問題とは言い切れませんが、仮にドローン使用が一般化すれば、物流システムや測量、設備メンテナンスといった分野ではこれまでの常識が根底から覆る可能性もあります。法的整備やルールの策定など、商業用途が浸透するためのハードルはまだまだ高いのが実情と考えます。

現実的には、本当に有効・有用であり、経済合理性を満たすのならば、時間がかかることはあるとしても、そのシステムはまず普及すると考えるべきです。その過程で、問題点の多くは解決・緩和されると予想するのが妥当でしょう。ドローンの場合も、その使用や機材そのものの有効性・経済合理性には現在あまり懸念材料がないように見えることから、ルールの策定問題などは着実に進展するものと思われます。株式市場でも、最終的なルールの決定を待たず、その進展を見ながら関連銘柄の物色が始まる可能性は大きいと考えます。

ただし、実は人類の歴史において、戦争時などの特殊期間を除き、常に3次元的に治安を考えなければならなかった経験はありません(日常的には2次元的対応で十分)。ドローン導入で近隣住民も空からの偶発事象(あるいは悪意に基づいた事象)に備えなければならなくなると、住宅の形状まで含めて2次元での対応とは考え方を抜本的に変える必要が求められるかもしれません。そうなると、追加的なコスト負担などから経済合理性が失われてしまうリスクがあることも留意しておくべきでしょう。株式市場はまだこれらを見極める段階にあると判断します。

なお、ドローンで筆者はあるモノへの将来的発展を直感的に想像しました。実現には商業利用向けなどとは比較にならない程ハードルは高いと考えますが、これまで実現への期待すらなかったことを考えれば、この想像も決して荒唐無稽ではないと思っています。そうなれば、本当に面白いですが(笑)。さて、読者の皆様には、特別にその「あるモノ」とは何かをお教えしておきましょう(笑)。 それは、、、、、、ドラえもんのタケコプターです!

コラム執筆:長谷部 翔太郎

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