マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
みなさん、こんにちは。『今どき、株で儲けるヤツは、「業種別投資法」を使っている』著者の長谷部翔太郎です。記録尽くめとなった5月とは打って変わって、6月に入って日経平均株価はやや調整局面を迎えているようです。ただし、息の長い相場となるためには程々の調整がむしろ不可欠です。ここは休むも相場と割り切って、少々の調整も已む無しと考えるのも重要かもしれません。少なくとも筆者は、ここもとの相場をそのように受け止めています。
さて、今回は「金利」をテーマに採り上げたいと思います。実は2015年に入ってから、金利の先行きに関して、世界的に注目度が高まってきています。特に、米国や中国の金利動向の注目度は高く、株価が大きく動いた時にはその背景として金利が指摘されることも少なくありません。直近ではドイツの金利も急反発となっており、やや波乱の様相が見え隠れしてきました。株式市場は徐々に、しかし確実に金利に対して神経質になりつつあるように見えるのです。そこで今コラムでは、金利と株価の関係について、大雑把ですがみなさまの投資のお役に立てるよう簡単にまとめておきたいと思います。
一般に、金利といえば銀行預金金利を想像される方も多いでしょう。そして、それが株価に影響するというのは、(諸々の理屈はさておき)直感的にピンと来ない方も少なくないのではないでしょうか。さらに、よく経済評論家などから「よい金利上昇」「悪い金利上昇」などといった説明も聞かされると、さらに混乱してしまうというのが実情かと想像します。アナリスト業の長い筆者も実はそうなので、ご安心ください(笑)。そこで、今コラムでは大胆に、こう理解してしまうことを提案いたします。基本的に「金利上昇は株価下落要因である」と。説明は割愛いたしますが、これは理論的にもその通りです。これが大原則となる基本的な捉え方となります。
これに対し、現実にはそうならないことが多多あるのではないか、との反論・意見をお持ちの方も少なくないでしょう。これに対しては、都度都度の状況が金利の変化以上の影響したのだ、と考えるのが有効でしょう。例えば、ある時の金利上昇は、確かに株価のマイナス要因ではあったが、それ以上の何かプラス要因があったために、株価はむしろ上昇した、という具合です。あまり難しく考える必要はありません。突き詰めてみると、重要なのは(金利上昇のマイナス要因をカバーするだけの)その都度都度の状況を認識しておくこと、です。
では、その都度都度の状況というのはどんなことがあるでしょうか。典型例は、株式市場が織り込み済みであったケースです。金利上昇が予想され始めた時点で、(基本的には株価下落要因ですから)市場はそのリスクを織り込み始め、株価は軟調となるはずです。そして実際に政策金利の変更が実施された時には最早市場は織り込み済みで反応しなかった、という状況です。むしろ、追加的な金利変動観測を払拭する規模の利上げとなると、安心感から株価が上昇することも少なくありません(この場合は、株式市場が金利上昇規模を過剰に織り込んでいた、ということになります)。こういった状況に適切に対応するためには、事前のコンセンサスなどをしっかり確認しておくことが重要となるのです。
もう一つの典型例が、よく言われる「よい金利上昇」のケースです。これはつまり、景気拡大に伴う金利上昇を指す場合が多いのですが、金利上昇というマイナス要因はあっても、景気拡大でそれ以上のメリット(具体的には企業業績の改善など)が期待されるという構図です。このケースでは、金利上昇が景気拡大の結果(副産物)の一つである限り、メリットの方が大きいという構造となります。しかし、様々な思惑や政策などによって金利の上昇が過ぎると、一気に景気抑制効果の方が大きくなり、本来の「株価下落要因」として機能することになりかねません。問題はこのバランスを如何にうまくとるかであるため、各国中央銀行はその舵取りに細心の注意を払っているのです。当然ながら、金利低下(引下げ)局面では、これらとは正反対の状況になります。
世界の金利動向はかなり複雑化してきています。新興国では景気テコ入れに向けて金利を引き下げる動きが相次ぐ一方、先進国ではむしろ景気回復にともなって金利はジリ高傾向が顕著です。これに、先進国ではリーマンショックを機に導入された低金利政策からの早期脱却という思惑も加わるため、上記のような単純な見方はなかなかできない部分があることも確かです。しかし、あまり複雑に見すぎると本質を見誤りかねません。「金利」は株価のボラティリティとから見ると地味なのですが、非常に重要かつ影響力の大きな「怪物」とも言えるシロモノです。あまり苦手に思わず、これにうまく対応し、周到に用意しておくことを是非常に頭の片隅に残しておいてください。
コラム執筆:長谷部 翔太郎
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