マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
米国政府商務省の国際貿易局が、昨年2014年に米国を訪問した外国人旅行者とその消費動向に関する統計データを発表しました。
中国人の消費額が他国を圧倒しているとの結果になりました。
国別の訪問者数トップ10は以下の通りです。
1位 カナダ 2,300万人
2位 メキシコ 1,730万人
3位 英国 400万人
4位 日本 360万人
5位 ブラジル 230万人
6位 中国 220万人
7位 ドイツ 200万人
8位 フランス 160万人
9位 韓国 140万人
10位 オーストラリア 130万人
一方、国別の消費額トップ10は以下の通りです。
1位 カナダ 272億ドル(約3.4兆円)
2位 中国 238億ドル(約3兆円)
3位 メキシコ 193億ドル(約2.4兆円)
4位 日本 173億ドル(約2.2兆円)
5位 英国 132億ドル(約1.7兆円)
6位 ブラジル 130億ドル(約1.6兆円)
7位 インド 96億ドル(約1.2兆円)
8位 韓国 78億ドル(約1兆円)
9位 ドイツ 74億ドル(約9,300億円)
10位 オーストラリア 61億ドル(約7,600億円)
旅行者数で第6位の中国が、消費額では第2位ですので、旺盛な消費ぶりが容易に理解できます。
ともに第1位の隣国カナダからの訪問者は、小売価格や消費税(売上税)率の差により、米国で割安となる生活用品、日用品などを主に購入していますので、他国との比較が難しいのですが、訪問者数でカナダの9%に過ぎない中国が、消費額では88%にまで迫っています。
国際貿易局の推定では、米国を訪れる中国人の9割が買い物をし、一人当たりの消費額は平均10,800ドル(約135万円)に達するそうです。
米国は、日本やヨーロッパ諸国以上に、中国人に対するビザ発給条件が厳しく、これまで観光旅行にはハードルの高い目的地でした。
近年、徐々に条件が緩和され、また中国からハワイや米国本土への直行航空便の開設も増え、観光客が増えつつあります。それでも、多くの中国人にとって、米国はまだ遠い存在であり、旅行者には親戚や友人から買い物の依頼が数多く舞い込むであろうことが容易に想像できます。
ハワイ、特にホノルルでは日本語のみで不自由なく旅行が楽しめると言われますが、今後さらに中国人旅行客が増加すれば、いずれ、この日本語が中国語に置き換えられてしまう時が来るかもしれません。
また、中国から米国への旅行客の動向は、日本の航空会社の戦略にも影響を与えています。
以前、まだ旅客数が少なかった頃は、直行便が限られ、中国から一旦日本を経由して米国に向かうルートが一般的でした。北京から成田空港に到着すると、多くの乗客が乗継のロビーに向かうのを目にしたものです。
ところが、中国から米国への旅行客の増加に呼応して直行便が増え、乗継客が減少しているため、日系航空各社は東南アジアから米国への旅客にターゲットを移しているそうです。中国人旅行客の動向が世界中の航空会社、ホテル、小売店などに影響をもたらしています。チャイナパワー恐るべしです。
これから夏の旅行シーズンとなり、日本にもまた多くの中国人旅行客が訪れることになりそうです。航空券やホテルの予約が大変になるなど影響も垣間見えますが、是非観光、食事や買い物に消費していただき、日本経済に貢献して欲しいものです。
中国人旅行客の羽振りの良さを再び認識させられたニュースでした。
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コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所長
マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト
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