マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
大相場に上手く乗ることができれば買って放置するだけでも大きな収益を上げることが可能です。アベノミクス、異次元緩和相場と呼ばれる円安ドル高局面では、どんなに買い遅れたとしても100円以下でドル買いができていれば20円以上の利益。買って放置していただけ、、、とはいえ、79円からスタートした相場で90円台での買いは躊躇してしまいますね。それでもトレンドがはっきりしている相場なら、どんな高値から買ってもさらに高値を更新するものです。では、今の相場はどうでしょう。ドル/円相場125円高値で頭が重くなってきたようですが、トレンドは継続しているのでしょうか?!それとも「黒田ライン」が意識され125円が天井となり円高となってしまうのでしょうか。
※黒田ライン 6月10日、日銀の黒田総裁が「実質実効為替レートでは、かなり円安の水準になっている」とし、ここからさらに実質実効為替レートが円安に振れるということは「普通に考えればありそうにない」と述べたことから125円がマーケット関係者の間で強く意識されている。
ドル/円相場は6月5日に125.84円を付けてからこの高値を更新できていません。つまり、上昇トレンドは一旦休みで、これがただのレンジなのか、それとも大天井だったのかの見極めの期間に入っています。このような相場に入った時には、やみくもに高値を買ってはいけません。トレンド継続とみてドルを買うならば「前回のもみあい水準の上値抵抗ライン」まで下げてきた局面、もしくは、長い下ひげを作って反発した局面のみです。125円台が天井である可能性が否定できない場合、125円まで近づいてきた高値を「買い」で追いかけてはいけないのです。125.84円の今年の高値近くまで上昇してきても、ここを超えられるほどの強い材料がない場合、ドル/円ロングを保有している投資家は利益を確定してしまうことが多く、前回高値、そして今年の高値というような象徴的なコストを超えるのは難しいのです。
ドル/円相場は今年1月から5月まで半年近く117~122円のレンジ相場を繰り返しましたが、この122円のレンジ上値までドル/円が下げてくれば、ここは逆張りで買ってみてもいい水準です。そのまま下げ続けるリスクもあるのですが、レンジの期間が長いレベルほど、その近辺には多くの売買が行われたことの証であるため、よほど強力な売り材料やリスクが生じた場合を除いては、前回のレンジレベルでは反発して上昇しやすいのです。今回もまた、ギリシャや中国リスクで下落したドル/円相場は120円半ばまで下落したものの、この前回レンジレベルに入ったために、反発したものと思われます。
トレンドが続くと考えているならば、結局は125円の高値も更新すると考えているのだからどのレベルでロングしても同じではないか、と思考すれば、そのシナリオが間違えていた場合に大きな損失を被るリスクを取ってしまうことになります。シナリオが違っていても、リスクを最大限に減らすことができるポジションを取るのが生き残るためには必要なスキルなのです。
では、前回レンジレベルにまで下げずに125.84円を超えて上がってしまった場合はどうすればいいのでしょうか。
これこそが、高値を買っていい局面です。125.84円をNY終値でも確実に抜けてひけたら、新しいトレンドが生まれたサインです。レンジの期間が長ければ長いほど、押し目待ちに押し目なしの大きな上昇となります。NY終値で今年の高値を上回ったことが確認できたら、1時間足、10分足とより時間軸の小さいチャートを見て、小さな押し目を拾っていきます。日足で見れば高値追いのポジションとなりますが、トレンドが発生していれば、日足での大きな調整は見込めません。時間足、分足チャートでのわずかな押し目でロングしなければ、乗り遅れてしまいます。
しかし、今はまだ125.84円の今年の高値を超えてはいません。ドル/円は天井を打った可能性もありますし、長いレンジ相場に入った可能性もあります。もちろん、高値超えで新たなトレンド相場を作る可能性もありますが、要するにもっとも先が見えにくい局面にあるのです。やみくもに、これまでドル/円相場はずっと買えば儲かった相場だから、という理由だけで現在の124円台でロングするのは、とてもリスクが高いトレードです。レンジ相場入りしてしまったとするならば、このレンジが長引くことも考えて、レンジ下限(前回レンジ上限)である120~122円台で買って、125円台で利益確定するという地味なトレードを繰り返すのが最も効率的となります。ただし、投資における最終判断は皆様ご自身で!
コラム執筆:大橋ひろこ
フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。
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