第127回 北京が青空を取り戻すためには? 【北京駐在員事務所から】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第127回 北京が青空を取り戻すためには? 【北京駐在員事務所から】

中国政府は、昨年、日本政府が第二次世界大戦の降伏文書に調印した9月2日の翌日9月3日を「抗日戦争勝利記念日」と定め、さらに今年は70周年記念日として、国の祝日としました。
同日、北京では大規模な軍事パレードが行われるとのことで、日本大使館からは、在留邦人及び旅行者向けに「平静を保ちつつ、中国での滞在、旅行を過ごすよう」との注意喚起がされております。

これに先立ち、今月22日(土)から30日(日)には、同じく北京で陸上競技の世界選手権が開催されます。2008年のオリンピックに続き、ウサイン・ボルト選手(ジャマイカ)が国家体育場「鳥の巣」で世界新記録を出すことができるかが最大の注目です。

冬場に比べれば多少ましとは言え、悪名高い大気汚染は選手にとっては大敵ですし、また政府も、すっきりとした青空の下で軍事パレードを開催したいということで、昨年11月のAPEC(アジア太平洋経済連携)首脳会議の開催時に続き、強権を振るっての対策が予定されています。
このほど、明日20日(木)から9月3日(木)までの15日間に渡る規制強化の内容が明らかになりました。以下の6項目になります。

(1) 自動車の使用の制限

自家用車は、ナンバープレートの末尾の番号により、奇数の車は奇数の日付の日のみ、偶数の車は偶数の日付の日のみ、市中心部への乗り入れが可能。
政府及び政府関係機関の車については、使用を80%削減。電気自動車や、救急車、消防車等の緊急車輌は規制の対象外とする。


(2) 汚染物質を排出する工場の操業停止

市内の工場のうち、石油化学、建材、塗料、印刷、家具製造等に係るものの操業停止。


(3) 解体作業の禁止

市内の建設現場約1,300ヶ所で、解体作業を停止。


(4) 近隣の省及び市で同様の規制を実施

北京市に隣接する天津市及び河北省、ならびに近隣の山東省、山西省、河南省、内蒙古自治区で、自動車の使用制限や、工場及び建設現場での操業停止を実施。


(5) 大気汚染の状況の監視を強化

北京市の環境保護局は、自動車の排気ガスや工場の排煙など、大気汚染物質に関する観測と監視を強化。

(6) 空港の使用禁止

9月3日の軍事パレード当日に、北京の二つの空港について、9:30~12:30の間、全ての航空機の離発着を禁止。


(5)の監視強化は理解できるとしても、その他はいずれも共産党政権の中国で無ければできないものです。
(6)の空港の使用禁止は、おそらくパレードに参加する軍の航空機の飛行を優先してのものと思われますが、北京での飛行禁止が機材繰りに影響することで、3日の航空便は全国で混乱することが予想されます。
また、(1)の自動車の使用制限も、せっかく自動車を持っていても一日おきにしか使えないという話ですので、相当なものです。地下鉄やバスの混雑が予想され、いささか憂鬱になります。

陸上の世界選手権は、今回も織田裕二、中井美穂のキャスターコンビで中継されるそうですし、軍事パレードもニュースで報じられることと思います。テレビをご覧の際には、ありとあらゆる手を動員しての対策が奏功し、青空を拝むことができるかにも、ちょっと注目していただければと思います。

=====================================

コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所長

マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト

マネックスからのご留意事項

「特集2」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。

商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。

マネックスメール登録・解除

コラム一覧