マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
中国で最も多く食されている肉類は豚肉と鶏肉です。
料理の名称も、「○○肉」と言えば豚肉料理になります。
代表的なものとしては、
などが挙げられます。
ちなみに、鶏肉料理の名称は、「○○鶏」となり、牛肉や羊肉の料理はそれぞれ「○○牛肉」、「○○羊肉」のようになります。
羊肉は中国北部や内陸部で多く食され、名物料理も数多くありますが、南部出身者の中には「食べられない」という人も多いです。
また、牛肉はこれまであまりポピュラーではありませんでしたが、生活水準の向上で食の欧米化が進み、都市部ではステーキなどの需要が拡大しているそうです。
もちろん、吉野家の牛丼も若年層を中心に人気を博しています。
スーパーマーケットでは、日本と同様薄切りや挽肉なども売られていますが、庶民の多くは、市場などで大きな塊を購入し、様々な料理に利用しています。
中国の食卓に欠かせない豚肉の価格は、消費者物価への寄与度が高く、豚肉価格の推移は、消費者の心理にも大きく影響していると言われています。
中国では景気の減速傾向が顕著となっており、7月の生産者物価指数は前年同月比5.4%の大幅下落となりました。昨年7月は0.9%の下落でしたが、月を追うごとに下げ幅が大きくなっています。
一方、対照的に消費者物価指数は、7月に前年同月比1.6%の上昇となりました。政府の国家統計局が公表したデータによると、豚肉価格は前年同月比で16.7%上昇し、また野菜は同10.5%上昇しました。
国家統計局は、これらの二品目が、消費者物価上昇の主因と分析しています。
北京市在住の60歳の女性は、先日1㎏の豚肉を45元(約840円)で購入しました。数か月前には35元(約650円)だったそうで、3割近い急上昇です。
一般庶民にとっては厳しい状況となっています。
私はほとんど料理をせず、生鮮食料品を買う機会は多くないのですが、確かに豚肉の加工品や野菜の価格は、最近かなり上がっているように思います。
食料品以外の分野では、原油価格の低迷、企業の過剰生産能力、ならびに需要の弱含みを反映してデフレ傾向となっており、今年のGDP成長率目標である7%を達成するためにも、政府は金融緩和に踏み切りたいところですが、食品の価格上昇は、緩和による景気刺激を難しいものとしています。
先週初めに株式市場が一段安となり、上海総合指数が3,000ポイントの大台を割り込んだことから、8月25日(火)に中央銀行(中国人民銀行)は金融緩和(預金準備率及び預金・貸出の基準金利の引き下げ)を行いました。今後、株式市場の動き次第でさらなる緩和があるのか、またその効果は期待できるのかについては、様々な見方が飛び交っています。
エコノミストの多くは、中国政府にとって7%の成長目標の達成は最優先課題であり、インフレの抑制は優先順位が低いと述べていますが、食料品価格の高騰で政府に対する不満が高まることも避けねばならず、難しい舵取りを迫られることになります。
人民元切り下げの影響や、不安定な株式市場とあわせ、政府の金融政策から目が離せない状況が続きます。
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コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所長
マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト
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