マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
過去25年間でドル/円の最小レンジは2006年の10%だが、今年のレンジは8.6%。過去25年、年前半レンジで1年を終えたことはなく、その年の高値、安値は年後半に記録されている。週末、福岡で開催されたマネックス全国投資セミナー講演でJPモルガン・チェース銀行の佐々木融氏がお話くださった興味深い事実。仮に今年のレンジがこれまでの最小の10%程度にとどまったとしても、ドル/円相場は今年の高値125.86円がピークなら下値は114.40円となる、、、、。今年は残すところあと1ケ月。年前半レンジを超えられるでしょうか。
12月はドルやユーロを大きく動かす可能性が大きいイベントが目白押しです。12月3日のECB理事会、4日の米11月雇用統計、同日OPEC総会で原油が動くリスクもあり、その場合通貨も相関する可能性も。大トリは16日FOMC。米利上げが2015年の金融市場の主軸のテーマとなり続けましたが、いよいよFRBがどう応えるかに世界の金融関係者の注目が集まっています。
日本はゼロ金利政策を継続、欧州はマイナス金利となるなか、米国が金利を引き上げれば日米、米欧金利差拡大でドル高になるというのが教科書的な見方ですが、これはあまりにも基本的な概念であるため、すでにマーケットには十分に織り込まれているとして、実際に利上げがあれば「材料出尽くし」でドルは売られドル安になると分析する向きもあります。この先12月の数々の金融イベントをこなした結果、ドル/円相場は円高に向かうことになるでしょうか。
市場関係者らは様々なデーター、経験則から12月がどのような動きになるか予想していますが、そのうちの一つに「株は年末高となりやすい」というものがあります。先週11月26日は米国の感謝祭でしたが、感謝祭が明けると米国勢が来年に向けてニューマネーを動かすとされています。日経平均は、感謝祭の終値と大納会日の終値を比べると昨年まで12年連続で上昇していることから、今週から日本株上昇を見込む向きも。ITバブルの崩壊や米同時多発テロの影響で2001~2002年の日経平均は下落したものの、その後はリーマン・ショックが起きた08年を含め上昇しているだけに、市場参加者はこのアノマリーに向けて日本株を買ってくるかもしれません。そうなれば、為替市場でも円安に動くのでは...?!
また、米国株市場でよく知られている大統領選「前年」株高アノマリー。通例であれば、大統領選の前年は新政権への期待感や政府が有権者の人気を得るための経済政策を打ち出すため株式相場も上がりやすいとされています。今年1月2日のNYダウ工業株30種平均の終値は17,832ドル。先週末27日終値は17,798ドルでした。ダウ平均は未だ年初より小安い水準にとどまっていることから、年末に向けて株が上がるのではないかという見方も。
フランクリン・ルーズベルトの3期目だった1943年以降、18期連続で大統領選前年の米国株は上昇しています。仮に今年が年初水準より下落して終われば76年ぶりの珍事ということになります。
数々のデーター、経験則から12月は株高、ドル高となりやすい月ということになりますが、2015年はこれらのアノマリーを覆してしまう異例の年となってしまうでしょうか。前回のコラムで書きましたが、為替スワップ市場でドル調達コストが上昇していることは、最終的にはスポット市場でのドル買いにつながる可能性もあることから、ドル高バイアスは高まっていると思っています(逆にベーシス上昇(調達コスト上昇)はリスクであると分析する向きもあります)。ECB理事会や雇用統計を受けてドル/円相場が円高となるような局面があれば、ドル買いのチャンスではないか、と個人的には考えているのですが...。
コラム執筆:大橋ひろこ
フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。
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