第66回 「2016年の重大イベント」を読み解く 【市場のテーマを再訪する。アナリストが読み解くテーマの本質】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第66回 「2016年の重大イベント」を読み解く 【市場のテーマを再訪する。アナリストが読み解くテーマの本質】

みなさん、こんにちは。『今どき、株で儲けるヤツは、「業種別投資法」を使っている』著者の長谷部翔太郎です。株式市場はまだまだ不安定な状態が続いています。先月末よりなんとか落ち着いてきたと思われた市場ですが、先週は日経平均が一時19,000円を割り込む局面もあるなど、これまでのところ12月も波乱の展開と言わざるを得ない状況にあります。相場が落ち着かない要因としては、月初のECBの追加金融緩和が期待以下であったことから、政策イベントの織り込みが難しくなってしまったことが大きいように思います。その後のFOMCの利上げ予測が控えていたこともあり、市場はかなり神経質な状況にあったと認識しています。また、(以前このコラムでも採り上げた)原油価格が一向に下げ止まらないことも、世界景気の先行き懸念材料として相場の重石となったと見ます。ただし、FOMCの利上げは先週波乱なく通過となりました。年末に向けて、「灰汁抜け」相場を期待したいところです。

さて、今回は年末最後のコラムということでもあり、「2016年の重大イベント」を取り上げたいと思います。日経平均17,325円で幕を開けた2015年ですが、なんとか陽線で一年が終わるような感触となってきました。仮にそうなれば、これで4年連続の年足陽線となり、リーマンショック前の所謂「ミニバブル期」以来ということになります。景況感や景気判断はいろいろあるでしょうが、株式市場においてアベノミクス相場はそれだけのインパクトがあったということになるでしょう。では、2016年はどうでしょうか。5年連続の年足陽線達成となれば、バブル崩壊後の最長記録を更新し、バブル崩壊後の成長軌道確立を印象付けるものになるのでしょう。興味は尽きないところです。ちなみに、年足陽線の最長記録は、1978~1989年の12年間です。

現時点で予想される、あるいは予定されている(株式市場における)重大イベントは次の通りです。国内的には、なんといっても消費税再引上げ(2017年4月)に伴う経過措置の開始と、夏の参院選挙が挙げられるでしょう。経過措置を考えれば、消費税再引き上げの最終決定は2016年夏頃までになされると思われます。つまり、上記の2イベントはほぼ時期が重なり、景気の先行見通しを含め、かなり株式相場に影響を及ぼす可能性があると考えます。個人的には、消費税引上げの再延期も十分あり得ると思っているのですが、仮にそうなれば株式市場への影響も相当なものがあるのではないか、と想像します。これ以外にも、北海道新幹線開業(3月)、電力小売自由化(4月)、といったところが、市場のテーマに浮上してくる可能性が大きいと考えます。

世界的には、8月のオリンピック 、11月の米大統領選挙、そして個人的関心も含めて春に予定されている上海ディズニーリゾート 、を注目イベントとして挙げます。まずは、オリンピック。かつては五輪需要ということでテレビなどが注目されましたが、その定石が今回も継続するのかどうか。これに加え、五輪応援グッズや期間中の外食なども相場に影響を与えるのではないか、と考えます。そして米大統領選挙。これは株式市場のみならず、世界全体の政治・経済情勢を左右するイベントであることは間違いありません。今年秋ごろに台頭した東アジアにおける地政学リスクはやや小康状態となっていますが、テロの脅威や中東における混沌とした状況は依然として現在進行形です。政治カードは相場においても極めて重要なファクターになっていると位置づけます。

最後に挙げた上海ディズニーリゾートは、様々な観点から注目度大と見ています。まず、これによって、訪日旅客数に影響が出てくるのかどうか。また、ブランド管理の厳しいディズニーが中国内で展開することによって(これまでは香港で展開)、中国市場において知的財産保護などの意識の浸透が加速するのかどうか。さらには、人の移動の活性化により、東アジアにおける地政学リスクの緩和が期待できるのかどうか、などです。これの動向を推し量るうえで、上海ディズニーリゾートは絶好の判断材料になるのでは、との見方です。

振り返ると2015年もいろいろありました。皆様はいかがな一年でしたでしょうか。そして、一足早いですが、2016年が皆様にとって良い年でありますよう。良い新年をお迎えください!


コラム執筆:長谷部 翔太郎

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