第193回 波乱相場、大底をつけたか?!センチメントを変えたECB理事会 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

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第193回 波乱相場、大底をつけたか?!センチメントを変えたECB理事会 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

1月20日水曜日には115円台にまで下落したドル/円相場ですが、その後反発上昇となっています。日経平均株価も先物価格で16,000円大台を割り込むところまでの下落があった後、大きく反発して週明けには17,000円台にまで回復してきています。

リスク回避相場は終わったのでしょうか。

今回の波乱のきっかけを作ったと指摘されている中国人民元安や原油価格下落に本質的な解決が見られたわけではありません。しかし、30ドルを割り込んで20ドル台半ば近辺まで下落していたWTI原油価格は30ドル台を回復しているほか、人民元相場も急落が止まり小動きに終始しています。中国は2月8日からの春節(旧正月)を控えて、資金供給を行っており、ひとまずパニック的な元売り株売りが沈静化しているだけだという指摘もありますし、原油安が止まったのはWTI原油先物取引の中心限月である期近物が納会となって取引の中心が3月限から6月限にロールオーバーされたことで、その鞘の分が上昇しただけとの指摘も。つまり、まだまだパニック相場は終焉していないと警鐘を鳴らす向きも多く、戻りを売りで考えている投資家も多い印象です。確かに、懸念事項の抜本的解決が見られない限り2016年相場年間を通じての大底を付けたというにはまだ早い印象ですが、短期的には戻りを大きく入れる相場に入ったとの見方も出てきています。

短期的なマーケットのセンチメント(市場心理)の改善はECBドラギ総裁の発言が切っ掛けだったとして、春先まではパニックは沈静化するのではないか、という安心感が広がりつつあります。21日木曜日、ECBは金融政策の現状維持を発表。政策の変化はなかったものの、ドラギ総裁が「金利はしばらくの間、現行かそれを下回る水準で推移する。新興市場の成長をめぐる不透明感の高まりを受けて、下振れリスクは新年が明けて再び増した。ECBの金融政策姿勢について次回3月の政策委員会で再検討し、場合によっては再考することが必要になる可能性がある」と3月の理事会での追加緩和の可能性を示唆しました。欧州の緩和マネー期待で、ショートになっていた(売りが膨らんでいた)マーケットは、買戻しが入って下げ止まり、一転上昇に向かいます。さらに、今週は日銀の金融政策決定会合が予定されていることから、日銀の追加緩和期待も一層高まる結果につながり、これは主に日本株市場への恩恵が大きいため日本株のショートが一気に買い戻される過程で、ドル/円相場も反転上昇に向かっていると見られます。日銀の緩和に懐疑的な向きが慎重姿勢を崩せない中、今週の日銀で追加緩和はなくマーケットが失望から下落するリスクは大きいと思いますが、その下落はこの短期的な戻り相場のいい押し目となるのではないか、と考えています。仮に1月に緩和がなくても、ECBが3月の理事会で追加緩和を示唆していることを考慮すれっば、日銀4月会合へとその期待が紡がれていくことで、日本株とドル/円相場は下値が支えられていくでしょう。問題は日銀が市場の期待にこたえきれなかった場合ですが、それはまた時期が近づいたら考えればいいこと。まずは年初から20%もの下落となった日本株の買戻しに伴ったドル/円の上昇基調が続くものとみています。


コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

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