第198回 3月1日スーパーチューズデー!大統領選と為替相場【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第198回 3月1日スーパーチューズデー!大統領選と為替相場【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

今日3月1日はスーパーチューズデーです。共和党・民主党による二大政党が議会を支配する米国ではオリンピック開催年となる4年に1度「11月の第1月曜日の次の火曜日」に大統領選挙が行われます。今年2016年の場合は11月8日火曜日ですね。

各政党で大統領候補者を一本化するため、州ごとに予備選挙を実施しています。1月から6月にかけて行われる予備選挙の結果、党の統一候補が決まり、7月の全国党大会で党の正副大統領候補を正式に指名する仕組みです。

特にカリフォルニア州やニューヨーク州など人口の多い州で代議員の票を獲得した候補者は、その後の選挙戦を有利に進めることができるため、党の代表として大統領選挙に出馬する可能性が高いとされています。例えば両党ともにニューヨーク州予備選は4月19日、カリフォルニア州予備選は6月7日など人口の多い州などで勝利を収めることができればかなり優位になるとされています。代議員数も多いためですね。

そして合わせて15州の予備選が行われるのが今日3月1日スーパーチューズデー。両党それぞれ10を超える州での予備選であり、人口の多いテキサス州なども含まれることから、予備選序盤戦のヤマ場とも指摘されています。

民主党2月27日のサウスカロライナ州の予備選では大本命ヒラリー・クリントン氏が39対14で勝利を収めました。ただし、2月20日のニューハンプシャー州をライバルのバーニー・サンダース氏に奪われたことで、クリントン氏の苦戦が伝えられています。

そして大波乱なのが共和党予備選です。初戦となった2月1日のアイオワ州予備選こそテッド・クルーズ氏に8対7で惜しくも敗退するも、その後のニューハンプシャー州、サウスカロライナ州、ネバダ州を圧倒的な強さで票を獲得する大勝利、過激な発言で泡沫候補と目されていたドナルド・トランプ氏の驚異的な強さには驚きを隠せませんが、仮に各党の現在優位候補であるヒラリー・クリントン氏、ドナルド・トランプ氏が大統領となった場合、日本にとってはどのような影響があるのでしょうか。

ヒラリー・クリントン氏は米スター・トリビューン紙への寄稿の中で、日本や中国およびその他アジア諸国が過去数年にわたり為替操作で人為的に輸出価格を抑えてきたと名指しで批判しています。「新たな監視体制や透明性確保などにより、この不公平な慣行(為替操作)と戦う」方針を示し「関税を含むさまざまな手段でも対抗措置を取る」と言明しました。クリントン氏はドル高を是正し米国の輸出産業をサポートする趣旨の発言をしたわけですから、ドル/円相場にとって円高バイアスが強まるとの懸念が出てきました。G20でも日銀による前例のない金融刺激策に対する懸念の高まりが討議されたこともあり、これ以上の日銀のサプライズ演出や過度な円安誘導と受け止められるダイナミックな金融政策はとりにくくなったように感じます。

ドナルド・トランプ氏は「政策的に通貨安誘導を行う国に対してはその国からの輸入品に対する関税率を引き上げることで対抗する」と発言。「日本も中国と同様に円安に誘導している。だから私の友人は米キャタピラー社の代わりにコマツの建設機械を買っている」と、日本の建設機械大手「コマツ」をわざわざ名指しして日本の経済政策を批判。円安で輸出攻勢を掛ける日本製品に、米国は仕事や雇用を奪われているという主張を繰り返しています。この発言も選挙戦を戦うパフォーマンスの一環であればいいのですが、こうした発言とは別に反FRBでもあるため、トランプ氏が大統領になれば金融市場は暴落すると懸念する向きも多いようです。

アベノミクス、黒田バズーカを受け入れてきたオバマ政権がレイムダック化する中で、米国の製造業が苦しんだドル高是正が大統領選挙のひとつのカードとなっているようです。予備選の序盤段階では決定権がない候補者の発言にそれほど悲観的になることもないのですが本選挙へと駒を進め、いよいよ大統領になる可能性が出てくるとなれば、市場も神経質となってきます。

2月~6月まで開催される各党予備選挙のスケジュール並びに代議員数、そして予備選の結果などはウィキペディアに詳しく掲載されています。マメにチェックしておきたいですね。

2016年アメリカ合衆国大統領共和党予備選挙
http://bit.ly/1OFgZgD

2016年アメリカ合衆国大統領民主党予備選挙
http://bit.ly/1OFgRO6


コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

TwitterAccount 

@hirokoFR

マネックスからのご留意事項

「特集2」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。

商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。

マネックスメール登録・解除

コラム一覧