第156回 チベットでもケンタッキーフライドチキン? 【北京駐在員事務所から】

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第156回 チベットでもケンタッキーフライドチキン? 【北京駐在員事務所から】

先々週、8日(火)に、チベット自治区のラサにケンタッキーフライドチキン(KFC)のレストランが開店しました。
中国では、KFCのほか、マクドナルドやピザハットなど、米国系のファストフードチェーンの店が多数あり、地元チェーンなどと熾烈な競争を繰り広げていますが、チベット自治区では初の出店になります。

開店初日から大盛況で、入店を待つ客の長い行列ができたほか、店の前で写真を撮る子供たちの姿も目立ったと報じられています。

チキンなどの食材は、1,800㎞ほど離れた西安(陕西省)から空輸されるとのことで、チキンサンド、コーラとフライドポテトのセットは40元(約700円)と、北京などでの価格(550円程度)よりも割高となります。
それでも、地元市民や中国各地からラサに来ている人々にとっては待ちに待った開店とのことで、南部雲南省から2年間の予定でラサに派遣されている公務員の男性は、「他の都市で生まれ育ち、幼いころからファストフードの味に慣れている我々にとっては非常に有難い」と出店を喜んでいます。

開店二日目の9日(水)の店内は、ほとんどの来店客が30代までの若年層で、およそ半数が地元のチベット族の人々でした。29歳のチベット族の男性は、「初めてKFCを食べたが、美味しくて気に入った」と話しています。
店のマネージャーは、地元住民に加え、チベットへの旅行客の来店にも期待していると述べています。
チベットでは、一時期少数民族によるテロ活動等があり、政府は特に外国人の立ち入りを厳しく制限していたのですが、最近では観光客誘致強化の姿勢に転じ、昨年2015年の旅行客は前年比29%増の2,000万人を記録しました。2020年には3,000万人に達すると予想されています。
せっかくの旅行なのですから地元の料理を、とも思うところですが、欧米人や、中国でも都市部の人々にとっては、有難い存在になるのかもしれません。

店の従業員は現在40名で、半数が地元の居住者、8名がチベット族だそうです。マネージャーは、「採用を続けており、ゆくゆくは従業員の半数をチベット族にしたい」と話しています。

KFCは、採算が取れないとの判断で、2004年にチベット自治区への進出計画を棚上げにしていたのですが、二桁成長を続ける経済の拡大により購買力が高まったため、今回出店に踏み切りました。KFCは1987年に北京で中国での第一号店を開店し、現在全国の店舗数は5,000を超えています。今後チベットでも徐々に店を増やしていくことが予想されます。
生活の利便性が高まり、市民にも旅行者にも良いことなのでしょうが、チベットの独自性が損なわれることにならないか、懸念も拭えません。観光を重視する政府が、また地元の人々が、伝統文化の維持と経済発展の両立をどのように図って行くのかが問われています。

私も、是非チベットに足を運んでみたいと思っているのですが、航空運賃など費用が高く、また「高山病で苦しんだ」等の友人の話を聞きますと、ちょっと二の足を踏んでしまいます。費用の節約のため、同行者を探してみようと思います。

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コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所長

マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト

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