マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
日銀が先週HP上に掲載した「5分で読めるマイナス金利」が話題ですが、最後に「『マイナス』という言葉の響きも悪かったかもしれません」と、その後のマーケットの反応には戸惑っているようなフレーズが。マイナス金利導入については賛否分かれる中、「いずれ『プラス』の効果がはっきり出てきて、明るくなってくると思います」と締めくくられていますが、Q&Aスタイルでのマイナス金利解説、とても解りやすいので是非ご一読を。
※5分で読めるマイナス金利(日本銀行サイトへ遷移します)
そして、今週4月1日に日銀が発表する「日銀短観」にも注目です。日銀のHPにも「『短観』とは何ですか?」というページがあります。
『短観』とは何ですか?(日本銀行サイトへ遷移します)
◆業況判断DI
日銀短観についての詳細解説は日銀のHPに譲るとして、何がどう注目なのかを簡単にまとめてみました。日銀短観の内容は世界中の投資家が注目しています。特に注目されるのは、景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた業況判断指数(DI)ですが、QUICKが24日時点でまとめた民間調査会社17社の予測では、大企業製造業の業況判断指数DIは平均でプラス7と前回の昨年12月より5ポイント下がる見通しで、予想通りとなれば半年ぶりの景況感悪化で、2013年6月調査以来2年9カ月ぶりの低水準となります。大企業非製造業の業況DIはプラス23と前回から2ポイントの低下が見込まれており、実際に景況感が悪化すれば14年9月以来1年半ぶりとなってしまいます。
◆想定為替レート
また、企業の想定為替レートにも注目です。12月の前回日銀短観では2015年度の企業のドル/円想定為替レートは、大企業・製造業1,091社の平均で119.40円でした。企業は期初の想定為替レートを保守的に設定し、徐々に実勢相場に寄せていくことで収益計画を上方修正するパターンが多いのですが、昨年の3月短観で111.81円だった想定レートが12月短観で119円台にまで引き上げられたことになります。しかし、現在の為替レートは110~115円のボックス相場となっており、想定為替レートを大きく下回っています。今回発表される3月短観での企業の想定為替レートもかなりの修正があると予想されています。
◆設備投資計画
そして3月の日銀短観で最も注目なのは「設備投資計画」です。3月短観で初めて「2016年度の設備投資計画」が公表されるのですが、これも為替の想定レートと同じで、最初は控えめな数字になる傾向が強いとされています。ただし、いくら控えめとはいえ、新年度最初の計画からマイナスとなれば、企業の先行き不安が大きいということが嫌気され、マーケットの上値を抑えるネガティブ材料になりかねません。事前予想では前年度比1.0%減が見込まれており、足元の円高の影響で投資に慎重になっている企業が増えていると予想されています。
◆日銀短観の結果とドル/円相場
教科書的には、日銀短観の結果が良ければ景気が良くなるとの連想から、金利上昇思惑が働くため、円金利上昇から円買いが旺盛になって円高となる、と解説されてきましたが、日銀は1月の金融政策決定会合で「マイナス金利」を導入しており、短観の結果で円金利上昇期待が高まるというような環境ではなくなっています。しかし、結果が良いことで追加金融緩和への期待値が低下することで、円安ドル高バイアスが低下し、結果的に円高気味に動くということはあるかもしれません。結果的に円高方向に動いたとしても、そのロジックが異なるだろうことは面白いのですが、それだけ難しい相場になっているとも言えますね。逆に短観の結果があまりに悪ければ、一時的に株が下落し、ドル/円相場も下落することがあっても、追加緩和への期待が強まることで、急落したところからの反発も大きくなるかもしれません。海外投資家は2015年度、日本株を7年ぶりに売り越しています。アベノミクスへの期待が後退していると指摘される中、海外勢が今後の日本への投資を考える上でも日銀短観の結果は非常に注目度が高いと思われます。
コラム執筆:大橋ひろこ
フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。
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