第163回 世界一周豪華ツアーは販売開始直後に完売 【北京駐在員事務所から】

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第163回 世界一周豪華ツアーは販売開始直後に完売 【北京駐在員事務所から】

2014年7月30日付の本コラム(第76回)で、「80日間世界一周ツアー、代金2,000万円」という話題をご報告しましたが、ツアーの主催者であるHHTravel(中国最大手のネット旅行代理店Ctripの高額ツアー部門です)は、今年も来年1月に出発する定員10名のツアーを販売しました。
販売開始から数時間で「完売御礼」となったそうです。

今回のツアー代金は138万元(現在の為替レートで約2,350万円)で、2014年の125万元から10.4%値上がりしました。
10年前、2006年の価格は50万元だったそうです。為替レートの変動や訪問先での物価上昇もあり、やむを得ないところではありますが、価格の高騰と衰えぬ人気ぶりには驚かされます。

今回販売されたツアーは、来年の1月3日から3月22日までの日程で、22の国と地域を訪問します。
空路での移動距離は6万㎞を超え、地球を一周半する計算です。航空便は全てビジネスクラスを利用するほか、クルーズ船、豪華列車、ヘリコプターや原子力砕氷船も利用するそうです。

HHTravelによると、最近数年間の「世界一周ツアー」参加者は、男性43%、女性57%と女性が多く、職業別では会社役員43%、会社オーナー27%、自営業あるいは専業主婦15%などとなっています。年齢層は45歳から55歳が中心とのことで、日本の豪華ツアーに見られる「多くがリタイア組」とは様相が異なっています。現役世代のうちから3ヶ月近くも休みが取れると言うのも、ちょっと羨ましいように思います。

他の旅行代理店も、豪華で高額なツアー商品の市場が拡大、かつ成熟していると見て、対応を強化しています。北京の旅行代理店の広報担当者は、「以前は、豪華な旅行といえば周囲に対する自慢の種という要素が大であったが、今は豊かな、珍しい体験を求めるものに変化している」と述べています。同社では北極や南極を訪れるツアーが売れ筋トップで、他にアマゾン川のクルージングや、アフリカ、ケニアでの野生動物観察も人気だそうです。
上海在住の35歳の企業オーナーの男性も、知られていない地方に行く、あるいは特定のテーマを持って旅をするのが楽しいとし、「観光や買物は旅行の目的ではない。冒険が好きなので次の旅行は南極に行く」と話しています。
「経済成長の減速など関係無し」という感じの、何とも景気の良い話です。
中国は、人口が多いことから、「お金持ち」以外にも、例えばスポーツや芸術の分野でも、飛び抜けた人材を輩出しています。
友人にプロの音楽家がおり、現在ヨーロッパに留学中なのですが、外国人学生の最大勢力は中国人だそうです。
高級車、時計やブランド品なども、中国市場が有望ということで、世界中の企業が進出し、販売促進に動いています。
「蚊帳の外」となりつつある日本をちょっと淋しく思う一方、このままでは貧富の差がますます拡大し、いずれ社会不安を惹起することにならぬかと心配にもなります。

「ぜいたく品消費」の世界を見る限り、日本と中国は対照的な状況ですが、日本を「経済、社会が成熟した結果」と単純に評価して良いのかどうか、いろいろと考えさせられてしまいました。


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コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所長

マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト

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