第211回 米国債利回りが反転しやすい6月、ドル/円相場は?!【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第211回 米国債利回りが反転しやすい6月、ドル/円相場は?!【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

6月はドル/円相場と相関関係が高い米国債10年物利回りが天井や底を付けやすいというアノマリーがあります。

昨年2015年6月も米国の利上げ期待が高まって金利が上昇しており、米国債10年物利回りは2.4%まで上昇していました。これに連れてドル/円相場は1ドル125円台まで上昇していましたが、黒田日銀総裁が「実質実効為替レートでは、かなり円安の水準になっている。ここからさらに実質実効為替レートが円安に振れるということは普通に考えればありそうにない」と述べたことで急反落。以降ドル/円相場の125円台は「黒田ライン」として意識されるようになったのですが、不思議なことに米国債利回りもこの6月にトップアウトして低下傾向が続いています。ひょっとすると、黒田氏の発言が主因ではなく、米国債利回りのトップアウトがドル/円相場の下落の材料だったのかもしれません。米国債10年物利回りは振幅はあるものの、この時の2.4%台を天井に低下が続いており、ドル/円もまたこの6月の124.84円が天井となって円高トレンドが続いています。

このような相関が過去どの程度見られたのでしょうか。2001年以降2015年までの15年間を振り返ってみました。

2001年:6月トップアウト

2002年:6月転換なし
2003年:6月ボトム

2004年:6月トップアウト
2005年:6月ボトム

2006年:6月トップアウト
2007年:6月トップアウト

2008年:6月トップアウト
2009年:6月トップアウト

2010年~2014年は6月転換なし
2015年:6月トップアウト

どうでしょうか、2003年から2010年までの7年間は、6月に米国債10年物利回りが天井、もしくは底をつけて反転していたことがわかります。直近では昨年2015年6月が米金利の天井ですが、今年は・・・・?!

ドル/円相場は米国債利回りとの相関が高く、米国利上げ思惑が強まれば米国債利回りが上昇しドルが上昇することでドル/円相場も上昇しますが、利上げ思惑が後退すれば、ドルが売られドル/円相場は下落します。このようなアノマリーが比較的高い確率で存在するとなると、意識してみておいても損はないでしょう。

足元では先週末に発表された5月の雇用統計の結果を受け、米国の早期利上げの思惑が後退したことで1.70%台にまで低下しています。この動きに連れてドル/円相場も下落、円高が進んでいます。5月の雇用統計の数字は衝撃的な悪化で、一気に今月6月14~15日のFOMCでの米国の利上げの可能性が消滅したような値動きとなっています。

そして米国債10年物利回りは2015年1月の1.60%台が迫ってきています。このまま米国債利回りの低下が続くのかどうかが注目されますが、ポイントは今回もし6月転換となるとするなら、米金利は天井をつけるという位置にはなく、底を確認する流れの中にあるということ。目下金利は低下の流れにありますが、まだ6月はスタートしたばかりです。1か月経過する流れの中で低下が続き底入れするという可能性もないわけではありませんね。ドル/円相場がこのまま円高進行となるのか、反転の余地があるのかを見るうえでは、米国債10年物利回りが、昨年1月につけた1.6%をも割り込んで利回り低下が続くのか、どこかで底入れして反騰開始となるのかも、ひとつの焦点となってきます。無論、このアノマリーが絶対ということではありませんので、そのまま下落が続くかもしれませんが...。


コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

TwitterAccount

@hirokoFR

マネックスからのご留意事項

「特集2」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。

商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。

マネックスメール登録・解除

コラム一覧