第167回 機内でWi-Fi使えます 【北京駐在員事務所から】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第167回 機内でWi-Fi使えます 【北京駐在員事務所から】

航空機、特に長距離国際線でのサービスと言いますと、以前は機内食や映画、音楽などのエンタメ、さらには座席の快適さなどがポイントでしたが、最近ではエンタメのオンデマンド化は当たり前となり、化粧室へのシャワートイレの設置やテレビニュースの放映など、急速な進化を遂げつつあります。

機内でのWi-Fiサービスも続々と導入されており、飛行中にメールの送受信、ウェブサイトの閲覧やSNSの利用ができるようになっています。その気になれば普通に仕事ができてしまいますので、さて喜ぶべきことなのかと、いささか複雑な思いがいたします。

ところが、通信衛星による通信、電話サービスを提供する英国のインマルサット社が、世界9,000人の航空機利用客を対象にアンケート調査を行ったところ、中国人を筆頭にアジア太平洋地域の乗客はWi-Fiサービスへの関心が高く、航空会社及び便の選択の際にWi-Fiの有無を考慮するとの回答も最も多かったそうです。

中国人はスマホが大好きで、航空機に搭乗していても、多くが離陸直前までスマホをいじっており、また着陸するとすぐに一斉に電源を入れています。

微信(中国版LINE)や微博(中国版ツイッター)などのSNSは多くの中国人にとり「常識」にまでなっています。飛行機での移動中もSNSを使いたいと考えるのも分かるような気がします。

北京在住の26歳の会社員は、「長距離便に乗る時は、ドラマをダウンロードしたiPadを持ち込んでいる。Wi-Fiが安く使えるのであれば是非利用したい」と話しています。

インマルサット社のアジア部門責任者は、「中国人のWi-Fiサービスへの関心は高いが、利用目的の多くはSNS等で、ストリーミングなど高速データ通信のニーズは少ない。そのため料金に敏感で、如何に安くサービスを提供できるかが鍵」と述べています。

現在、アジア太平洋地域で使われている航空機のうち、Wi-Fi用の機器を搭載しているものは3%程度である一方、今回の調査では、同地域の利用客の半数超が、Wi-Fiを「あると嬉しいサービス」と回答しています。ちなみに、普通の映画や音楽サービスを望む乗客は2割未満にとどまっています。

航空機でのWi-Fiサービスは、米国で始まり、まだ数年の歴史しかありませんが、今後は一気に広まりそうな勢いです。そのうち、「航空機での移動中でもメールは届く」が当たり前になるのかもしれません。

機内エンタメといえば、今は長距離便では個人別のモニタ―画面が普通になりましたが、昔は客室前方のスクリーンや、天井から下りてくる画面に映画が上映され、乗客は皆同じものを視聴していました。

機内サービスの案内で、「お食事のあと、映画を二本上映いたします。本日の演目は・・・」などとアナウンスされていたことが懐かしく思い出されます。

機内サービスの充実は、航空会社各社が顧客獲得のためにしのぎを削る中でどんどん進んでいます。将来どのようなサービスが打ち出されるのか、専らエコノミークラスの私にはあまり縁のない話ではありますが、ちょっと注目してみたいと思います。

機内Wi-Fiサービスの話から、航空会社間の激しい競争や、顧客ニーズの変化など、いろいろなことがうかがい知れるように思いました。

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コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所長

マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト

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