マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
今週の最大のヤマ場は23日(木)の英国のEU離脱を問う国民投票ですね。午後10時(日本時間24日朝6:00)に締め切られ即日開票となります。無効票や郵便投票を含めた投票数を日本時間24日7:30から10:30までに発表、10:00~12:00までに大勢が判明し、15:00までにはすべて判明する見通しとなっています。
英国がEUを離脱するか否かが問われるわけですから、為替市場では「ポンド」と「ユーロ」のリスク。今週は欧州通貨が乱高下することが予想されますが、気を付けたいのが、本邦個人投資家動向。ロイターが、東京金融取引所のFX「くりっく365」の個人投資家のポンド/円のポジションは、6月16日時点で売り建て1万8,234枚に対し、買い建ては約15倍の27万5,209枚に達していることを伝えています。
国内FX取引高における「くりっく365」残高ベースのシェアは3割程度を占めており、おおむね日本の個人投資家のポジションを反映しているとみられているようです。23日の英国国民投票イベントを控えてボラティリティ(変動幅)が拡大することは容易に想像できる環境となりますので、今週の相場でセンチメントが急激に悪化した場合には、ミセスワタナベのポンド/円ロングのストップ注文を狙う短期的な売り仕掛けがあっても不思議はありません。リスクが高まっている時には、リスクを避けつつも急激な値動きがあった場合にどのようにトレードするかを想定しチャンスに変えるトレードアイディアも必要です。
先週はFOMC~日銀と日米の金融政策を受けて、ドル/円相場が一段と円高進行となりました。米国の利上げのペースはかなり緩やかになるだろうと思われることと、日銀が追加の金融緩和を実施しなかったことが円買いを強める結果になり、今年の安値を更新しています。23日の英国の国民投票の結果次第では、さらなる円高となるリスクを孕んでいるものの、年初の120円から17円も円高が進行しており、ここから売り参戦したところで下値妙味はそれほど大きくないと思っています。
先週末に発表されたIMM通貨先物ポジションを確認すると6月14日時点で、円ロングポジションは77,703枚、円ショートは22,013枚、相殺すると円の買い越しが55,690枚。その前の週の42,853枚のロングから一段と円買いが増加しています。ちなみに、1984年以降の統計で、最大の円の買い越しは2008年3月25日時点の65,920枚で、この水準に近付いてきています(統計以来最大の円ロングは2008年3月4日時点の94,654枚。現在77,703枚ですから、こちらも過去最高レベルに接近していますね)。為替市場は大きな市場ですので全体に占める投機筋のポジションは非常に小さいもの。ですからこれが全てではないことが前提ですが、過去最高に接近するレベルにまで円買いが膨れてきているため、関係者も注視しているものと思われます。
また、日経平均は昨今PER13~16倍の間で推移しているのですが、先週15,000円台にまで下落した16日(木)に12.9倍にまで低下したところが足元では安値となっています。割安となったことで売り方の買戻しが入った、ということですが、実際に翌17日(金)には日経平均は反発となり、週明け月曜も大きく上昇しています。ドル/円相場もこれに連れる形で、いったんは底が入ったように見えます。
6月の日米の金融政策、そして英国の国民投票リスクを控えて日本株はかなり割安なレベルにまで売り込まれてきました。また、為替市場でも投機筋の円買いポジションが積みあがっています。23日の国民投票に向けて、残留の可能性が高まればリスク回避ポジションが整理される過程においては日本株は買い戻され、ドル/円相場が上昇する可能性は十分に考えられるかと思います。ここからは安値を丁寧に拾う時間帯に入ったように見えます。
ただし、本邦個人投資家勢のポンド/円の買いポジションの偏りなどを考えると、まだまだリスクを孕んでいることは否定できません。ポンド/円が急落するような局面があれば、ドル/円もそれにつれて下落する可能性も高く、もう一段の下落リスクは排除できません。トレード戦略としては、「今週の急落時を待って、安値を買う」です。待つことも戦略のひとつ。反発局面を追いかけてロングするのではなく、急落を待ち、下げ止まりを確認して買うことがリスクを限りなく小さくできるコツかと思います。
コラム執筆:大橋ひろこ
フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。
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