第214回 セリングクライマックス?!~暴落後の値動きに注意【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第214回 セリングクライマックス?!~暴落後の値動きに注意【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

英国が国民投票でEU離脱を選択しました。今回のマーケットの暴落の悲劇は、国民投票の結果が織り込みと異なる結果となったことにあったと思います。先週のコラムでポンド/円は「ミセスワタナベ」(日本の個人投資家の総称)がロング(買い)を積み上げていることがリスクであると書きましたが、残留派優位との思惑からポンド/円は145円の安値から160円まで15円も上昇していました。ところが開票結果が想定外のEU離脱であったことがショックとなって上昇分の全てを削ってなお下落、ポンド/円は132円まで下落してしまいました。

たった1日で27円もの暴落となったポンド/円。これだけの暴落となれば「セリングクライマックス」ではないかと安値を拾うトレーダーも出てくるかと思いますが、気を付けなくてはいけないのは「暴落の後には2番底を付けにいくことが多い」ということ。24日(金)の急落では損切りできずに含み損を抱えたままとなった投資家らは、相場がリバウンドして損失が減ってくると、それをチャンスとばかりに手仕舞い売りを出してきます。こうした売りが上値にはずらりと並んでいるだろう、ということを想定しておくことも重要です。急落をチャンスとばかり買う投資家があれば、損失を抱えたまま逃げる機会をうかがっている投資家もいるのです。こうした売りに押され再下落となれば「2番底形成の可能性」が生じます。2番底とはセリングクライマックスかと思われた最初の安値の次につける安値を指しますが、この安値が必ずしも1番底を割らないという保証はありません。2番目につける底のほうがさらに安く大底となることも少なくないのです。今回のパターンがどのような底入れパターンとなるかは、今週の戻りのスピードを見ることが肝要。1番底である24日の安値が大底となる場合は、戻りが早く、あっという間に急落の半値以上の戻りを見せます。買い意欲の強さを確認すれば、相場の戻りで損失を抱えた投資家らが逃げようとは考えず、買い持ちを継続しますし、新規買いも急速についてきます。しかし、リバウンドが鈍く、ゆっくりとした上昇となる場合は、戻りが売られやすくなるため、2番底形成のリスクは高まると考えられます。どちらにせよ暴落の後は、安値をチャンスと考えて新規で参入する投資家もあれば、損失を抱えたままの投資家も多く、思惑によって大きくリバウンドしたり再度売り込まれたりしながら、乱高下を繰り返し収束していくものです。

では、相場が急速に戻る可能性はあるでしょうか?!

残念ながら週明け27日(月)のポンドは反発鈍く再下落の様相を強めています。ポンドが下げ止まらず下落が続いていることを嫌気して、NYダウ平均も続落となっており17000ドルの大台をサポートできるか否か微妙な情勢。27日(月)は東京時間に日経平均はリバウンド相場となりましたが、下げすぎの反動に過ぎなかったようです。今回のリスクの主役である通貨ポンドが急速に買い戻される地合いとなっていないことから、本格的に2番底を探る展開となる可能性が濃厚となってきました。日経平均やドル/円相場も、この2番底が大底となる可能性もありますので、値ごろ感だけで買い参戦しないことです。米国発の危機、リーマンショック時にポンド/円は116円台まで下落しました。下落前の高値は251円です。この時のショックと比較すると、まだ今回の下落はかわいいものです。同様の下落が来るということではありませんが、ブレグジットショックは通貨ポンドが当事国であることをお忘れなく。


コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

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