第173回 超高齢出産 【北京駐在員事務所から】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第173回 超高齢出産 【北京駐在員事務所から】

日本では、少子高齢化に加え、「晩婚・晩産化」も進んでいるとされ、「妊活」という言葉もすっかり定着したように思われます。
翻って中国では、昨年まで施行されていた一人っ子政策とその廃止の影響により、また医療技術の進歩とも相まって、高齢の女性が妊娠、出産に踏み切るケースが増えており、日本を遥かに超える事例が頻発しています。

上海市に隣接する浙江省の杭州市では、体外受精により妊娠した61歳の女性が6月27日に男児を出産しました。2年前に、当時30歳の一人娘を病気で失ったことが、彼女を再度の妊娠、出産に踏み切らせたとのことです。
61歳での出産は、浙江省での最高齢記録を更新し、また全国でも2番目の記録になるそうです。
ちなみに、最高齢出産の記録は、昨年5月に東部の山東省で男児を出産した事例で、62歳とされています。

先月下旬には、中部の湖北省で、やはり体外受精により妊娠した54歳の女性が男児を出産しました。背景は同様で、2年前に一人息子を交通事故で失ったそうです。

杭州市の女性が入院した病院の広報担当者によると、女性は妊娠期間中に異常出血や高血圧など厳しい状況に何度も直面し、また産後の回復も順調でないとのことです。年齢を考えれば止むを得ないところでしょうが、それほどの危険を冒してまでも子を儲けたいという思いには心を打たれてしまいます。

中国政府の国家衛生・計画生育委員会によると、一人っ子を病気や事故などで失った家庭は全国で100万にも達し、毎年7万ずつ増加しているそうです。
また、2012年時点の推計では、うち355,000の家庭で、母親の年齢が49歳以上となっています。
さらに、本年初めからは一人っ子政策が全面的に廃止となり、「二人っ子政策」に移行しています。そのため、既に高齢となった夫婦が二人目の子を儲けたいと考えるようになっているそうで、杭州市の病院でも、妊娠あるいは不妊治療の相談に訪れる夫婦が増えているとのことです。

中国でのこのような動きを見ますと、食糧難など止むを得ない事情があったとは言え、一人っ子政策が多くの人々の人生に悪影響を与えたことが分かります。あわせて、人口政策の難しさ、コントロールの限界も痛感させられ、日本の少子化対策についても、いささか悲観的にならざるを得ないと認識してしまいました。

ともあれ、新たな命を授かった夫婦には祝福を述べたいと思いますし、あわせて親子共々末永く幸福であるよう、願いたいと思います。

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コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所長

マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト

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