第224回 9月の月間騰落率は最低も、逆に考えれば仕込み時期?!【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第224回 9月の月間騰落率は最低も、逆に考えれば仕込み時期?!【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

9月に入りました。米国株ダウ平均は史上最高値圏を保っており、日本株市場においても日経平均は17,000円大台を回復し、下値が切り上がってきています。1-8月に下落トレンドが続き1ドル100円を割り込むまで円高が進んだドル/円相場も、底入れの期待が出てきており、マーケットは総じてリスク選好。年後半に向けては大きな戻り相場を期待したいところですが、、、。9月10月というのは株式市場のパフォーマンスが最も悪い時期。どうしてもそのアノマリーが気がかりで強気になれないという向きも多いのではないかと思われます。

1929年暗黒の木曜日は10月24日。1985年プラザ合意は9月。1987年10月はブラックマンデー、日米ともにこの時の株価下落率がレコードです。1998年10月はLTCMショック。2001年は9.11、記憶に新しいリーマンショックは9月15日。偶然というにはあまりに出来過ぎなほどに9月から10月にはマーケットの大暴落を引き起こす事件が起こっています。さて、2016年は何事もなく平穏に秋相場乗り切ることができるでしょうか。

1985年から2014年までの過去30年間におけるダウ平均と日経平均の月間騰落率で最もパフォーマンスが悪いのが9月です。別段上記のような大事件が無くても9月のパフォーマンスが最悪な背景には、欧米のヘッジファンドの多くの決算月が11月であることが指摘されています。ヘッジファンドは資金を効率的に運用するために、解約できるタイミングが3ヶ月に1度、あるいは半年に1度に制限しているケースが多いのですが、ファンド出資者は解約の45日前までにその旨を伝えることとなっています。これが45日ルール。11月末決算の45日前となると、9月半ばですね。この時までに解約の申し入れをするというのがルールであり、ファンドは解約を申し入れられればポジションを締めて現金化しなくてはならいため、この時期に相場が崩れやすくなるというのですが、警戒しておきたいのが、得に2016年はヘッジファンドのパフォーマンスが悪く、すでに多額のファンドからの資金の引き上げが起こっているということ。7月には57億ドル(約5,730億円)が引き上げられましたがヘッジファンドからの資金流出は3カ月連続。世界のヘッジファンドからの資金引き揚げは過去3四半期で250億ドル近くに上っています。1-7月のヘッジファンドのリターンは業界平均でプラス2.5%。
対してS&P500種株価指数はプラス7.7%でしたので、高い手数料を払ってヘッジファンドに運用を任せておかなくてもいい、という動きが出ているというのです。これが今後も継続するとなると、11月末決算のヘッジファンドの解約申し入れも大きくなることが予想され、その場合、米株や日本株の手仕舞い売りが起こりはしないか、ということが、懸念されます。逆にヘッジファンドらによるショートポジションのほうが大きいならば、ポジションを締める際の買戻し、いわゆるショートカバーで上がるかもしれませんが。

9月、もし大きなショックが起こるとするならば、市場の織り込み度が低いままでの9月21日のFOMCで米国の利上げが実施された場合の株式市場、ということになるでしょうか。あるいは、同じく21日に開かれる日銀の金融政策決定会合が市場の期待と温度差が生じる結果となった場合の失望。あるいは下旬にアルジェリアで開かれる非公式会合にて期待されている生産国の増産凍結合意がなかった場合の原油急落、、、などリスクを挙げればきりがありませんが、もし、何らかのネガティブ要因が相場を冷やした場合、そこが年後半に向けての絶好の買い場となると私はみています。9月から10月は最も騰落率のパフォーマンスが悪い月ですが、逆に考えればそこで拾って最もパフォーマンスの良い5月までポジションを持つことで、安値を拾えるということです。高値掴みとならぬように気を付けながら、ここから年後半の日本株、ドル/円相場は買いを考える時期に入っていると思っています。


コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

TwitterAccount
@hirokoFR

マネックスからのご留意事項

「特集2」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。

商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。

マネックスメール登録・解除

コラム一覧