第2回 住宅ローン金利が下がらないのはなぜなのか?【あなたはどうする?住宅ローン】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第2回 住宅ローン金利が下がらないのはなぜなのか?【あなたはどうする?住宅ローン】

第2回 住宅ローン金利が下がらないのはなぜなのか?

「あなたはどうする?!住宅ローン」をお読みいただき、ありがとうございます。
第一回目の前回は、「住宅ローン借り換えのメリット」ということで、住宅ローンの借り換えによりどれくらい節約になるかというお話をしました。今回は、「住宅ローン金利が下がらないのはなぜなのか?」ということについてお話しします。

当社が提供する住宅ローンコンサルティングサービスにてお会いするお客様より、このような質問をよくいただきます。
「私は、住宅ローンを変動金利で組んでいるのですが、マイナス金利導入で市場金利が低下しているのに、なぜ自分の住宅ローンの金利は下がらないのでしょうか?」
同じような疑問を持たれている方も多いと思います。
そこでまずは、足下の金利環境を改めて確認してみましょう。長期金利は過去5年の間で約1%(2011年9月と現在の比較)、短期金利も約0.35%低下(2011年10月と現在の比較)しています。しかし、変動金利で住宅ローンを組んだ方のローン金利はそこまで大きく下がっていないのではないでしょうか。
一方、新規で変動金利の住宅ローンを組んだ場合、借入金利は0.5‐0.8%程度(大手都市銀やネット専業銀行)となっていますので、過去に変動金利で住宅ローンを組んだ方の金利もそれと同程度まで下がってもおかしくないはずです。ではなぜそうならないのか。それは住宅ローンの金利構造と関係があります。そこで、まずは住宅ローン金利がどのように決まっているかについてお話しします。

住宅ローンの金利は、銀行が独自で決める「基準金利」と「引き下げ幅」で決まります。変動金利の住宅ローンの基準金利は、いわゆる短期プライムレートに1%上乗せした金利です。そこから各金融機関が定める引き下げ幅(いわゆるディスカウントレートですね)を控除した金利が適用金利となります。現在大手銀行の短期プライムレートは1.475%、住宅ローンの基準金利は2.475%です。引き下げ幅はその時々の環境により銀行が決めていますが、住宅ローン獲得競争が激化する中、現在は2%近い引き下げ幅となっています。結果、新規に貸し出される住宅ローンの金利が0.5%近いところまで下がってきているわけです。

驚くことに、市場金利は一方的に低下しているにもかかわらず、住宅ローンの金利を決める基礎となる、短期プライムレートは過去20年ほとんど変わっていません。現在の住宅ローン金利の低下は短期プライムレートの動きではなく、引き下げ幅の拡大によってもたらされているのです。引き下げ幅はローン契約時に決定し、それ以後原則変わりません。市場金利の低下にもかかわらず短期プライムレートに変化はなく、また引き下げ幅もローン契約時から固定されているため、その結果、一度組んだ変動金利の住宅ローン金利は"変動金利"であるにもかかわらず、変わらないのです。

では、どうすれば市場金利の低下による恩恵を受けることができるのか。方法は二つあります。一つは現在住宅ローンを組んでいる銀行に交渉して引き下げ幅を見直してもらうこと、もう一つは借り換えにより現在新規に貸し出すローンに適用されている引き下げ幅の大きいローンに組み直すことです。銀行と交渉と言っても金利を引き下げる話ですので、交渉は難航することが予想されます。やはり借り換えるのが得策だと言えるでしょう。
次回は「住宅ローンのキャッシュフロー」をテーマにお話しいたします。

中山田 明
MFS 代表取締役CEO
住宅ローンコンサルティングサービス「モーゲージ・ネクスト」を運営

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