マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
北京の空の玄関口である首都空港は、中国で最大、旅客数では米国のアトランタ空港に次ぎ世界第二位の巨大空港です。
離陸前や着陸後の地上走行の際などに、その大きさを実感させられます。それでも、増加する需要を賄いきれないということで、市の南部で新空港の建設が進められています。中国の発展ぶり、経済の成長ぶりを象徴する場所の一つと言えます。
中国の航空需要増加に貢献しているのが、国内移動の航空機へのシフトに加え、世界各地への海外旅行客の増加です。
爆買いの勢いは衰えたと言われていますが、訪日旅行客数は増加を続けており、また韓国、タイ、米国、英国などへの旅行客も急増中です。
北京空港からは、日本からの直行便のない東欧、中南米やアフリカなどの多くの都市への便があり、「世界のどこにも中国人」に一役買っています。
バブル経済の時代には、「世界のどこにも日本人」だったのですが、すっかり主役交代となってしまいました。
増加する中国人旅行客の利便性向上のため、世界各地の空港が、中国語の案内表示や、中国語でのサービスの充実に努めています。
北京空港の運営会社は、このような動きを支援するため、多くの空港に指導、助言やスタッフの教育訓練等を提供し、サポートを行っています。
最近の事例では、フランスのパリ、韓国のソウルやタイの複数の空港で、中国語の案内表示の改善を行いました。
また、ドイツのフランクフルトやフィンランドのヘルシンキの空港での中国語サービスをサポートしたほか、ドイツのミュンヘン及びフランクフルト、スイスのジュネーブ、キューバのハバナの各空港と職員の交流研修を行い、中国人旅行客や中国文化に対する各空港の職員の理解を図ったそうです。
今月は、ヘルシンキ空港から職員数名が北京空港を訪れ、三週間の研修に臨む予定です。
北京空港のサービス部門担当者によると、世界の多くの空港から、助言やサポートを求める依頼が殺到しており、案内表示のほか、中国語のウェブサイトやスマホアプリの構築に関する相談が多いそうです。この動き、ますます広がって行きそうです。
昨年2015年中に、中国人海外旅行客が消費した金額は推計で2,150億ドル(約22兆円)で、世界全体の17%、6分の1に達しています。
世界中の空港、観光スポット、ホテル、商店や飲食店が、中国人客向けのサービスを充実させ、集客を図ろうとするのも当然と言えます。
北京空港構内の案内表示は、中国語と英語が全面的に使われているほか、一部に日本語と韓国語の表記がされています。日本語がこのまま安泰となるのか、あるいは他の言語に置き換えられてしまうのか、ちょっと心配にもなります。
また、世界各国の観光名所や免税店などでは、まだ日本語の案内表示が数多く見られますが、これが中国語に置きかえられる動きも進むことでしょう。日本人としては淋しいところですが、より多くのお金を落としてくれる人達へのサービスを充実させることも当然です。
日本の落日を感じさせられてしまいます。
日本では、繁華街などでも中国語、韓国語の表示、案内がかなり普及してきました。
2020年の東京オリンピック、パラリンピック大会開催に向け、外国語の表示、案内の一段の充実が図られることでしょう。多くの外国人訪日旅行客がリピーターとなるよう、ソフト面やサービスとあわせ、関係者の努力に期待したく思います。
=====================================
コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所長
マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト
マネックスからのご留意事項
「特集2」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。
商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。