マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
トレードする際にどんなに勝率が高いであろう局面を狙っても、100%思い通りにいくことはありません。勝率は6割~7割あればいい方です。リズムが合わない局面では勝率は悪化します。どんなトレーダーでも勝率100%を目指すのはハナから無理なのですが、勝率が高くなくても勝ち残り続けているトレーダーには共通点があります。
勝ち残り続けているトレーダー100人に聞けば100人が「資金管理」が最も大事で「ストップロス注文は必ず置く」と答えます。なんだ、そんなことか、十分に承知しているという人でも、口座資金が増えて行かないという投資家はこの掟を徹底していないか、そもそものエントリーポイントを間違えているかの、どちらかです。
勝ち組になれない投資家~①ストップ注文を置かない
ストップ注文で損切りが確定した後、結局またレートがもとに戻ってしまって、損切りしなければ最終的には利益が手にできたのに...という経験を何度も繰り返すことで、損したのはストップ注文を置いたせいだと考えてしまったことが誰にでもあるはず。ポジションを作っても、ストップに引っかかってばかりで「ストップロス貧乏」になってしまい資金がどんどん減ってしまうという経験から、ストップ注文を置かなくなってしまう。レンジ相場では、ストップなど置かないほうが結局戻ってきて、うまくいくこともあるのは否定しませんが、それはたまたま、です。金融市場の急変は何時どんなタイミングで訪れるのか誰にもわかりません。
10月7日早朝、ポンド円はたった2分もの間に10円もの下落を演じました。「ファット・フィンガー」(誤発注)ではないか、と指摘されていますが、現在のところ真相は明らかになっていません。あの時、ポンドを買って持っていたトレーダーで、ストップ注文を置いていなかった向きは自分の意志とは関係のない「強制ロスカット」を強いられました。一番ひどいところでポジションが決裁されて、口座資金が吹き飛んだということです。今年は6月24日の英国の国民投票でブレグジッドが決まった瞬間にもポンドが暴落、ポンドだけでなくあらゆる資産が急落しました。あの時にもストップ注文を置かなかった投資家は一度退場させられています。
相場の急変があろうとなかろうと、自身の1回のトレードで、取れることができるリスク幅がどのくらいなのか事前に決めることができないのなら、トレードすべきではありません。どの程度のリスクを許容し、どのくらいの利益を狙うのかがわからない状態での取引を繰り返せば資金はあっという間になくなってしまうでしょう。口座においてある資金に占める損失許容度は人それぞれかと思いますが、マネーマネジメント(資金管理)ができない投資家が勝ち組になることはできないでしょう。
勝ち組になれない投資家~②ストップ注文を置くがストップロス貧乏だ
また、ストップを置くことは徹底して守っているが、ストップロス貧乏となって投資資金がどんどん減ってしまう、という悩みを抱えている投資家は「エントリーポイント」を見直す必要があります。「そのトレードでとれる損失許容度は大きすぎませんか?!」エッジが効いたポイントであれば、ストップロス注文での損失リスク額はそれほど大きくないはずなのです。
例えば昨今のドル/円相場。100円割れが固いことを見極めて、100円台のどこかでドル/円相場を買ったとします。100円を割り込んで下落すれば、流れが変わってしまうとして、ストップ注文は99.50円。ストップ注文が執行されても損失は1円程度ですね。対して、まだまだ円高に行くという展望が多いので買う勇気がなかなか出なかったが、上昇してきたので、103円台で飛び乗った。この場合、ストップ注文はどこに置きますか?!同様に99.50円に置いたなら、一転下落に転じた場合に3円以上の損失が生じます。いやいや、そんなにリスクを取れないから103円ちょうどくらいに置いておこう~というような形で、損失幅を1円程度に抑えてストップロス注文を置いたとします。これ、見事に損切りにひっかかっちゃいましたね。雇用統計を受けてドル/円相場は利食いが旺盛となり、102円台へと1度調整が入りました。このように事前準備もなく、勢いに乗ってリスクを小さくしたいがために、置いた自己都合でリスク許容度を下げる意味で設定したストップロス注文は執行される確率が高いのです。相場は、あなたの都合で設定した損失許容度など関係なしに動きます。つまり、ストップロス注文をどこに置くかという観点からポジションを構築するという目線も重要になってくるということです。
トレードする際、取引しようとする銘柄を研究し、適正価格を知ろうとすることは重要です。割高なのか、割安なのか。FXの場合は、各国の金融政策も重要ですし、金利差でどちらに資金が流れやすいかを考えることも需要。トレーダーの中には、そうした価格、価値などのファンダメンタル的な分析は一切排除して、テクニカル分析のみでトレードをして勝ち残る向きもあります。テクニカル分析もメジャーなインジケーターであれば、それを見てトレードする向きが多い為、結果的にテクニカルが示す方向に相場が動くことがあるというのも事実です。私の場合はそのどちらも重要視しています。ファンダメンタル分析での方向性と、テクニカル分析の売買サインが一致したところが、トレードする際、勝率が高いエッジの効いた瞬間。こうしてエッジの効いた局面を事前準備からはじき出して、必ずストップロス注文を置く、このようなトレードスタイルに切り替えればきっと勝ち組トレーダーへの道は拓けるでしょう。
コラム執筆:大橋ひろこ
フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。
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