第185回 1990年代生まれの女性は専業主婦志向? 【北京駐在員事務所から】

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第185回 1990年代生まれの女性は専業主婦志向? 【北京駐在員事務所から】

中国では、本年初めより一人っ子政策が全面的に廃止され、全ての夫婦が二人までの子供を持つことが認められるようになりました。
急速に進む人口高齢化を踏まえての政策変更ですが、日本と同様、都市部を中心に住宅事情や教育費の負担の重さから、第二子を持つことをためらう夫婦が多いと言われており、政策変更の効果については懐疑的な声も多く聞かれています。

ところが、最近の調査により、1990年代生まれの母親は、80年代以前生まれの世代に比べ、第二子を儲けることを含め、子育てに積極的で、仕事のキャリアを中断することも厭わない傾向が強いとの結果が示され、注目されています。

調査は、政府の研究機関である中国社会科学院人口研究所と、大手家庭用品メーカー、ネット通販大手などとの共同で行われました。
本年4月以降、中国全土で、12歳までの子供を持つ7,501世帯より回答を得、またネット通販会社の購入履歴、顧客プロフィールなども併用しての調査、分析が進められました。
1990年代生まれの母親では、70%以上が仕事よりも子育てを優先すると回答し、また自分や夫の両親に頼ることなく、自身で子育てを行いたいと考える傾向も強いことが判明しました。
対照的に、1980年代以前生まれの世代では、子育てにより仕事を中断することを避けたいとの意向が強く、また親の助けを得たいと考える人の割合も高くなっています。

調査を指揮した人口研究所の研究員は、結果について概ね予想した通りとしながらも、1990年代生まれの世代に専業主婦(育児に専念)志向が強いことは意外であったと指摘し、今後より詳細な調査が必要と述べています。
今回の調査では、世代間で顕著な差が見られたことの理由、背景については明らかになっておらず、同研究員は、今後、今回の調査で得られたデータの分析を進めることで、新たな発見が得られるのではないかと期待しています。
調査対象の世帯の半分で、第二子を有している、あるいは儲ける予定であるとの回答があり、その理由としては、「子供に豊かな人間関係を経験させたい」が最多となっています。一方、第二子を持たない、あるいは望まないことの理由としては、「経済的負担」との回答が最多となっており、「第二子を望むも実現できない」夫婦が多いことがうかがえます。
人口研究所の研究員は、第二子を儲けることの理由として、パートナーあるいは両親からのプレッシャーを挙げる回答が多いものと予想していたそうですが、実際にはそのような回答はわずかで、若い夫婦が主体的に第二子を望んでいるとの結果になりました。一組でも多くの夫婦が希望を叶えることができるよう、願いたく思います。

日本でも、住宅事情や教育費の問題などから、夫婦が望む子供の数と実際に儲ける数に乖離が生じ、少子化が進んでいます。
日中で共通の事情も、また異なる状況もありますが、多くの夫婦が望み通りに子供を持つことができ、結果的に少子化の緩和、解消に向かうことを望みたく思います。

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コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所長

マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト

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