第3回 住宅ローンのキャッシュフロー【あなたはどうする?住宅ローン】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第3回 住宅ローンのキャッシュフロー【あなたはどうする?住宅ローン】

「あなたはどうする?!住宅ローン」をお読みいただき、ありがとうございます。
第一回、第二回で借り換えによるメリット及びローン金利の構造についてお話をしました。第三回目となる今回は、住宅ローンのキャッシュフローについてお話ししたいと思います。

住宅ローンは、通常最長35年まで借りることができます。35年と言っても35年後に一括で元本を返済するのではなく、借りた翌月から毎月少しずつ元本返済が始まります。いわゆる「元利均等返済」という返済方法が主流で、元本返済と支払金利の合計額が毎月同額となるように返済スケジュールが組まれています。満期一括返済と元利均等返済はキャッシュフローの観点からは大きく異なりますので、同じ返済期間でも区別して考える必要があります。

一括で元本償還のあるローンと徐々に元本償還のあるローンをキャッシュフローの観点から比較するために用意されたのがアベレージライフという概念で、元本返済までの期間を、各月における元本返済割合を年数で加重平均して求めます。
借入期間が35年の満期一括型のローンと元利均等型のローンのアベレージライフを計算してみましょう。満期一括返済型の場合は35年、元利均等返済型の場合は約20年になります。アベレージライフは金利リスクの計測に有効です。
例えば、35年満期一括型のローンの場合、金利が1%上昇すると金利総額は元本の35%増えることになります。これが元利均等型のローンだと約20%になります。金利が1%上昇した場合の金利増加率はアベレージライフと一致しますので、アベレージライフを計算すればそのローンの金利リスクが分かるのです。

次に、「繰り上げ返済」がアベレージライフに与える影響を考えてみましょう。住宅ローンを借りているAさんが元本残高の0.5%程度を毎月満期まで継続して繰り上げ返済すると仮定した場合、アベレージライフはどれくらいになると思いますか?
約10年になります。

つまり、10年満期一括型のローンと同程度になるということです。
住宅ローンは、ちょっとお金が余った、ボーナスがたくさん出た、家を買い替える、借り換えをするなど様々な理由で多くの人が繰り上げ返済をします。その結果、実際に多数の住宅ローンを集め、そのアベレージライフの平均値を取ると10年近辺になっているというデータもあります。

キャッシュフローの観点からは、契約上の満期よりアベレージライフの方が数字として重要です。35年の住宅ローンでも繰り上げ返済を考えるとアベレージライフが10年になるということは、住宅ローンはその契約上の返済期間が示すほど長期の債務ではないと言えます。であれば、金利タイプを選ぶ際も、全期間固定にしなくとも10年固定特約で十分だ、とも考えられるのです。アベレージライフによって、住宅ローンのキャッシュフローを比較することで、自分に最適なローン商品選択の一助となるのです。

MFS 代表取締役CEO 中山田 明

住宅ローンコンサルティングサービス「モーゲージ・ネクスト」を運営

マネックスからのご留意事項

「特集2」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。

商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。

マネックスメール登録・解除

コラム一覧