マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
「あなたはどうする?!住宅ローン」、毎号お楽しみいただいてますでしょうか? これまで過去四回に渡って住宅ローンのキャッシュフローの特性や金利の決まり方についてお伝えしてきました。第五回となる今回は、住宅ローンにおける永遠のテーマである、「固定金利がいいのか、変動金利がいいのか」ということについてお話ししたいと思います。
1990年代のバブル崩壊以降過去20年に渡って市場金利はほぼ一貫して下がってきました。それに伴い住宅ローン金利も下がり続けています。かつて住宅ローン金利が8%を付けた時代もありましたが、今では固定金利で1.5%程度、変動金利だと0.5%程度となっています。過去に「今こそ!」という思いで固定金利を選んだ方の中には、その後下がり続ける金利を目の当たりにして損した気分になられている方も多いと思います。
では、今から金利タイプを選ぶ方はどうすればいいのでしょうか?
過去を振り返ると、結果的には固定金利を選んだメリットはほとんどなかったわけですが、将来の金利がどうなるかは分かりません。歴史的に金利が最低レベルにあることは間違いなく、政府・日銀が躍起になってインフレを起こそうとしている今、金利を固定にすべきか変動にすべきかは、非常に悩ましい問題です。家計アドバイスのプロであるファイナンシャルプランナーの方の意見も固定派と変動派で真っ二つに分かれるようで、これは正解のない神学論争とも言われています。
固定金利か変動金利かの選択においては、次の二つの点を考慮すべきだと思います。
まず一つ目は、家計においてリスク耐性があるかどうかです。つまり、今後金利が上昇した場合、例えば1%程度金利が上がっても継続して返済していけるかどうか、一度シミュレーションして検討すべきでしょう。問題のないことが分かり、家計に余裕のある(=リスク耐性がある)方は変動金利を選択し、家計に対する金利上昇の影響が大きい方は固定金利を選ぶべきだと思います。
そしてもう一つ、2点目に考えるべきは、金利を固定化するコストです。3,000万円の住宅ローンで1.5%の固定金利と0.5%の変動金利を比較すると、その金利差は年間30万円、月額2万5千円となります。この差額の月額2万5千円は、金利を固定化するための保険料と言えるでしょう。ただし、もし月額返済金額の低い、0.5%の変動金利を選択し、差額の2万5千円を元本返済に回せば、35年のローンを5年以上短縮でき、総返済額で約630万円(元本の約20%!)の金利の節約ができます。人口減少と高齢化が進む社会でインフレを起こすのは相当難しいでしょう。本格的な金利上昇はまだまだ先だと思われます。そのような環境下では、固定金利にするコストは非常に高いと言えるのかも知れません。
MFS 代表取締役CEO 中山田 明
(住宅ローンコンサルティングサービス「モーゲージ・ネクスト」を運営)
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