マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
みなさん、こんにちは。『今どき株で儲けるヤツは、「業種別投資法」を使っている』著者の長谷部翔太郎です。大発会が天井になるかと思われた2016年の株式市場ですが、11月上旬からの急速な挽回により、どうやら下ヒゲを大きくつけた陽線で終わりそうな雰囲気となってきました。陽線で終わると実に5年連続となり、リーマンショック前までのミニバブル相場を抜き、12年連続陽線となった1978~1989年に次ぐ好調さということになります。流石に80年代ほどの熱狂感はありませんが、「失われた20年」というバブル後遺症からの転換局面がようやく鮮明になってきたのでは、と感じています。同時に、2016年に世界を揺るがせたBREXITやトランプ氏の米大統領選勝利など、世界が今後大きく変わっていく予感もあります。プーチン露大統領の訪日では北方領土の即時返還には至りませんでしたが、積み残した戦後処理を解決していこうという流れも鮮明となりました。2017年は激変への揺籃期になるのかもしれません。
さて、今回は年末最後のコラムということでもあり、昨年も試みたように「2017年の重大イベント」を取り上げたいと思います。昨年は、6月開園の上海ディズニーリゾート、8月のオリンピック、11月の米大統領選挙、を中でも注日イベントとして採り上げました。いずれも確かに注目されましたが、圧巻だったのは記憶に新しい米大統領選挙でしょう。ここまでの株式市場の反応はまさに予想外でした。一方、オリンピックはメダルラッシュへの熱狂は高まりましたが、かつてのようなテレビなどの五輪需要はあまり目立った盛り上がりはなかったように思います。では、2017年はどうでしょうか。現時点で予想される、あるいは予定されている(株式市場における)重大イベントは次の通りです。世界的には、1月のトランプ氏米大統領就任、1-3月中に予想される英国のEU離脱プロセス開始、3月のワールドベースボールクラシック、3月より始まる欧州各国の選挙(オランダ、フランス、ドイツ、可能性としてイタリアも)、4月頃の韓国大統領選挙など、今年前半に大きな政治イベントが集中することになります。
筆者は、BREXITやトランプ氏の出現などを見る以上、その流れがどう伝播・継続されていくのかを非常に注目しています。前述した通り、これらは世界が変わっていく予兆のようにも感じているため、です。冷戦終結時も、その時には漠然とした予感でしかありませんでしたが、その後徐々にヒト・モノ・カネの自由な移動が世界的に広がるグローバリゼーションの進展という変化が明らかになりました。今回の流れが果たしてそれだけの影響力を持つ変化なのかどうかも含め、当面の政治イベントは要注意であると言えるでしょう。新たな価値観や歴史は、(旧秩序の)破壊からでしか生まれてこないことは、歴史が証明しています。
一方、国内的には4月に日本初オープンとなるレゴランド(名古屋市)に注目したいと思います。これがスタートすれば、東京のディズニーリゾート、大阪のユニバーサルスタジオジャパンに続き、大型テーマパークが東名阪で揃い踏みとなる格好です。世界を見渡しても、この3つのテーマパークが鉄道で2時間圏内に並ぶという例は珍しいのではないでしょうか。このことはレジャーの選択肢が広がるだけでなく、増加している訪日旅行客への訴求力にも繋がるのでは、と期待します。ただし、2016年に比べると、2017年に予想されるイベントは総じて多くない印象です。その分、株式市場はよりファンダメンタルズを注視した展開になるものと予想しています。
そういった中、本コラムでは人口問題に注目します。内閣府によると、2017年には75歳以上人口が65~74歳人口を上回り、15~64歳人口に次ぐ人口帯になるようです。少子高齢化は以前から問題視されてきましたが、2015年に総人口が減少に転じたのに続き、さらに後期高齢者層(75歳以上)のウエイト拡大に至ることで、その懸念が目前に迫っていることがより鮮明となってくるはずです。当然、それに伴って、アンチエイジング関連、医療福祉関連が再びテーマとして浮上する他、住環境の改善や空き家問題に関しても、より具体的な展開が話題に上ってくる可能性もあると考えます。ただし、これはプラス要因だけではありません。人口減少、高齢化によって、厳しい環境変化が予想される分野も存在していることも意識しておくべきでしょう。
2016年は土壇場で相場の様相が一変するなど、変化を予感させるスリリングな展開でした。年前半の消化不良感いっぱいだった相場から、年末は市場に生きるものとしては実に腕のなる推移となりました。皆様はいかがな一年でしたでしょうか。そして、一足早いですが、2017年が皆様にとって良い年でありますよう。良い新年をお迎えください!
コラム執筆:長谷部 翔太郎(証券アナリスト)
日系大手証券を経て、外資系投資銀行に勤務。証券アナリストとして、日経や米Institutional Investors誌などの各種サーベイで1位の評価を長年継続し、トップアナリストとして君臨する。外資系投資銀行で経営幹部に名前を連ねた後、現在は経営コンサルティング会社を経営する。著述業も手がけ、証券業界におけるアナリストのあり方に一石を投じる活動を展開中。著作は共著を中心に多数。
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