マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
「あなたはどうする?!住宅ローン」もいよいよ第7回となります。これまでは、借り換えメリットや金利リスクといった、住宅ローンそのもののキャッシュフローに関することをお話してきましたが、今回は住宅ローンに付帯する生命保険である、団体信用生命保険(以下、団信と言います)についてお話しようと思います。
住宅ローンを借りると、原則、団信に自動的に加入することになります。ほとんどの住宅ローンの場合、保険料は金利に含まれており、債務者が別途負担することはありません。団信への加入が融資条件にもなっているので、健康上の問題で団信に加入できない人はそもそも住宅ローンを借りることができません。フラット35だけ例外的にローンと団信が分離されていて、団信に入れない人でも借りることができます。ただし、団信の保険料は金利に含まれず、年に1回、債務者の口座から別途引き落とされます。
団信のおかげで債務者は死亡や高度障害になった時にそれ以降の住宅ローンの返済が免除されます。金利競争が激しくなる中、各金融機関は団信の内容で差別化を図ろうと、様々な特殊な団信が開発されています。その保障内容は、単に死亡や高度障害だけでなく、日本人の死因順位TOP3を占める「がん」、「急性心筋梗塞」、「脳卒中」という、いわゆる3大疾病に対応した団信や、それに加えて「高血圧症」、「糖尿病」、「慢性腎不全」、「肝硬変」、「慢性膵炎」まで含む8大疾病をカバーする団信まで登場しています。どの団信にするかは、住宅ローン選びの重要な項目と言えるでしょう。今回はいくつか魅力的な団信をご紹介したいと思います。
まずは「無料で8大疾病団信付き」と謳われた商品を出している住信SBIネット銀行の団信です。注意しなくてはいけないのは、8大疾病に罹患してすぐに住宅ローンの返済が免除されるのではなく、罹患後1年間の就業不能になって初めて住宅ローンの返済が免除されます。そのような事象が起こる確率は低いでしょうが、通常0.3%程度の金利を追加で負担しなくてはいけない特殊団信が、最初から無料で付帯しているというのは魅力的かもしれません。最近は楽天銀行の住宅ローンにも同様の団信が付帯しています。
次に、じぶん銀行の団信です。こちらは「がん50%保障団信付き」と謳われた商品です。所定のがんに罹患した場合に、全額ではなく、その時点の残高の半分が返済免除になります。全額免除ではないとはいえそのような特殊な団信が最初から無料で付帯しているというのは魅力的かもしれません。8大疾病を原因とする1年間の就業不能をトリガーとして全額免除となる住信SBIネット銀行や楽天銀行の団信がいいのか、がんの罹患を即トリガーとして半額免除となるじぶん銀行の団信か、正直判断が難しいですね。
最後にりそな銀行の団信です。こちらは団信革命という、私の知る限り最強の団信が付帯しています。三大疾病以外に病気・怪我による15の状態や要介護状態で、住宅ローンの返済が全額免除されます。こちらは無料ではなく、0.3%の金利が上乗せされますが、保障範囲も広く、手厚いため、強力な団信と言えるでしょう。2016年7月より上乗せ幅を当初1万名限定で0.2%へ引き下げていますので、チャンスかも知れません。
上記の通り、団信にも様々な内容があり、単なる「三大疾病付き」や「八大疾病付き」という言葉に迷わされるのではなく、どのような条件に該当すると住宅ローンの返済がどれくらい免除されるのかを正確に把握することが肝要であり、住宅ローン選びの大きな判断軸となると言えるでしょう。
MFS 代表取締役CEO 中山田 明
(住宅ローンコンサルティングサービス「モーゲージ・ネクスト」を運営)
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