マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
今週で2016年が終わりますね。NYダウが20,000ドル大台達成に向けたラリーを継続中であることや、国内では年末に向けて株価が上昇する「掉尾の一振」への期待が株価を支えているため、ドル/円相場も116~117円台での高止まり。トランプラリー以降、買い遅れていた輸入勢の買いが下値をサポートし続けている構図にも変化はありません。
しかし年末年始相場です。ドル/円相場は2016年まで3年連続で1月に急落(円高進行)しているという事実が気がかり。日経平均も然り。3年連続で大発会は下落スタート。日経平均株価の騰落レシオは1990年以降のピークを更新している、とか移動平均線乖離率が2016年のピークを更新した、などの短期過熱感への警戒感も意識されています。
これらの事実から、今週投資家らが考えそうなことは、年内高値で手仕舞って現金比率を高めよう、あるいはショートポジションを構築しよう、ということになりますが、皆が同じようなことを考えている時は、そのシナリオに沿ったような値動きとならないのが常。マイナス金利導入後の円高も、トランプ勝利後のドル高も投資家らの想定外の値動きでしたね。想定外だからこそ、逆方向に値動きは大きくなるものです。年末年始に高値を付けて年明けから急落、というような解り易い動きにはならないかもしれませんね。トランプラリーは現実にトランプ氏就任となる1月20日前後まで継続するとの指摘もあるようです。
というのも、おそらく投資家らは2016年内には益出しをしないとみられるというのです。
目的は節税。トランプ氏が次期大統領となったことで期待されているトランプ減税です。トランプ氏は所得減税を成立させ、1月にさかのぼって実施すると発言しています。所得税の最高税率は39.6%。これが33%に減税される見込みとなっているのです。通常なら年内に益出しや損出しをしてポジション調整を行うところですが、来年減税が決まるのなら、益出し(利食い)は来年に持ち越したほうがいいと考えるでしょう。半面、損失は年内に確定してしまって、来年に利益が大きくなるように調整したほうがいい。トランプラリー以降、上昇が続いている米国株式市場。投資家らのポジションは買いで利益になっているもののほうが多いでしょうから、来年以降はこうしたポジションの手仕舞い、益出しが出るタイミングで大きな調整が入るリスクに留意しておくことが肝要。しかし、年内は益出しが出ないために、米株は高値を更新、20,000ドル大台を達成する可能性が大きく、日経平均も米株上昇に支えられて一段高、そしてドル/円相場も一段高となるシナリオも十分に考えられるでしょう。
ただし、クリスマス休暇があけると欧米為替市場は新年度に入りますが、東京市場は年末・お正月で市場は極端に商いが薄くなり、値動きが大きくなりやすいリスクもあります。東京勢が休んでいる間に隙をついて短期筋がストップ狩りのような投機的な仕掛けでボラティリティを高めるリスクはぬぐえませんので、リスクポジション(特にドル/円の買い)は、極力軽めにしておきたい局面です。
本年も1年コラムを読んでいただきましてありがとうございました。よい年をお迎えください。
コラム執筆:大橋ひろこ
フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。
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