マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
明けましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
中国では、今年は5年に一度の共産党大会開催、習近平政権折り返しの年ということで、「政治の年」になります。政権交代を控えた米国やロシア等諸外国との関係も気になるところです。
本コラムでは、引続き様々な話題をご紹介し、今の中国の姿をお伝えしていきたいと考えております。
皆様の中国に対するご理解の一助となりましたら幸いです。
さて、北京の街中では、クリスマスの装飾が春節(旧正月)に向けての装いに変わりつつあります。
今年の春節は1月28日(土)で、前日27日(金)より七連休となります。観光地、リゾートや海外への旅行に出かける人も年々増えていますが、多くの人々は帰省し親族や友人とともに年越しをします。出稼ぎ労働者などにとっては、年に一度の帰省の機会で、これを楽しみに一年間頑張って働くといっても過言でない一大イベントです。
既に、昨年末より春節の帰省ラッシュ期間の鉄道のチケットが売り出されており、七連休前後に北京、上海、広州など大都市を発着する列車のチケットは争奪戦になると言われています。
春節のお祝いに欠かせないものが花火と爆竹です。爆竹の音に魔除けの効果があるとされ、春節の午前零時から(時に前日からフライングも)一斉に轟音が鳴り響きます。
近年では、春節以外にも、結婚式、大学の卒業、誕生日などのお祝いの席で、花火や爆竹を使う人が増えているそうです。
新年の訪れを告げる花火と爆竹ですが、近年、都市部ではその音と煙が嫌われ、厄介者扱いされつつあります。特に煙による大気汚染は、一時的なものとは言え極めて深刻で、一年で最も酷いレベルの汚染が春節の時期に発生します。
北京では、市中心部での花火、爆竹の使用が禁止されているほか、使用できる期間も春節からの年始15日間に制限されています。
花火や爆竹のメーカーは、以前は各地に中小の業者が乱立していたのですが、規制の強化でより煙の少ないもの、あるいは花火の見栄えがよいものなど、付加価値を高めた商品の人気が高まっているそうで、開発力に勝る大手への集約化が進んでいます。
最大手の一社で、南部の江西省に本社を有する万載双宇は、2015年の売上が前年比12%増の8,000万元(約14億円)になりました。昨年2016年も同程度の増収率を達成した模様です。
同社の商品は、価格が他社のものより3割から4割も高いのですが、社長は消費者がより高級な品、環境に優しい品を求めていると述べ、今後さらにブランド力の強化を図るとしています。
業界団体の幹部は、花火や爆竹に対する政府の規制が今後一段と強化されるとし、メーカー各社が技術力を高め、製造工程の自動化、機械化を進めるとともに、大学や研究機関などとも協力し、より高品質の製品を開発していく必要があると指摘しています。
花火、爆竹工場での爆発事故は毎年のように発生しており、業界全体の技術水準向上は急務となっています。大手による寡占化が進むことで、淘汰される企業が出ることは避けられませんが、事故が減り、またより良い商品が手頃な価格で供給されることを願いたく思います。
ここ数年、春節の時期になると、大気汚染の元凶として花火、爆竹が槍玉に挙げられます。
大気汚染への影響は一時的なものに過ぎず、自動車の排気ガスや工場の排煙に比べれば軽微なものとしか思えないのですが、春節や正月明け直前の短い期間に集中しますので、どうしても目の敵にされてしまいます。
年配者などの間では、使用に関する規制の強化で、新年の楽しみが失われるとの嘆きの声も聞かれるのですが、都市部の大気汚染の深刻さを見ますと、やむを得ないようにも思えます。
いずれは、例えば「電気仕掛けで煙の出ない花火、爆竹」などに置き換えられてしまうのかもしれません。
中国の伝統と都市化の勢いの間で、花火、爆竹が翻弄されているように見えます。
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コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所長
マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト
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