マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
2017年酉年、トランプラリー継続でスタートした金融市場。年末年始の地合いの急変リスクを嫌って、株の買いポジションやドル買いポジションなどをキャッシュ化していた向きも多かったかと思います。2016年まで3年連続となった大発会から急落するパターンにかけて、ドル円を売ったという向きは、6日金曜日に発表された米国の12月雇用統計の結果を受けて踏みあげられる(買戻しを余儀なくされる)結果となりました。
現在、マーケットを取り巻く空気は「懐疑」と「恐怖」です。トランプ次期大統領は就任していませんが、選挙後2か月余りにも渡ってラリーが続いています。トランプ氏は就任前にもかかわらずTwitterで政策にかかわる重大な発言を繰り返し行っており、マーケットを大きく動かすリスクを孕んでいることも、このラリーの脆さ、そしてセンチメントの急変に備えよ、という恐怖をもたらしています。しかし、こういう時が最もマーケットが育ちやすい環境であることは有名な格言で知られています。「相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく。」著名投資家ジョン・テンプルトンの言葉ですが、今、まさにこの格言に沿って相場が育っていることを認識しておくことが重要でしょう。2016年、英国のEU離脱が現実となり、米国大統領選挙でトランプ氏が大統領に選出でもされることがあれば8年上昇が続いた米株は崩壊し、アベノミクスも終了との総悲観ムードだったところが、このラリーのスタート地点だったことは記憶に新しいですが、その相場は現在、懐疑の中で育つ段階にあるのです。トランプ就任とともに、期待先行で上昇してきたラリーは終了する・・・。こうした見方が多ければ多いほど、この相場は格言通りの軌跡を歩んで育っていくはずです。2017年は、ダウ平均は2万ドル大台を固め、日経平均も2万円の新たなステージへ。そしてドル円相場は130円へと向かって上昇していくという強気の展望も出てきましたが、私はこのシナリオに沿ったトレードを基本戦略としていくつもりです。
ただし、相場ですので一方向に解り易く動いてはくれません。アルゴやAIを使ったシステム取引などがマーケットのボラティリティ(変動幅)を大きくしている昨今では、イベントリスクも大きくなっています。これからのトレードのコツは、高値追いしないこと。株式個別では新値をとった銘柄を高値で買うというようなトレード手法もありますが、為替市場は2国間の通貨の相対的な取引ですので、新値をさらに買い上げて取れる大きなトレンドは、頻繁に訪れません。すでに11月の大統領選挙の安値101円台から118円台まで15円以上ものトレンドフォローの大相場を演じた後ですので、高値追いではなく、トランプ氏のTwitterによる発言で急落するなどの局面を丁寧に拾うというような買い方がいいでしょう。急落時に買うのは恐怖を感じるものですが、ブレグジットの時の急落でも大統領選挙の急落でも、リスクを小さくして拾っておけば、そのポジションは報われる結果となりました。2016年はチャイナ、原油安、ブレグジットに大統領選挙などのリスクシナリオで大きく下落する局面がありましたが、2017年もまた、リスクは声高に叫ばれると思います。ポジションの管理がうまくできるのであれば、リスクイベントで短期的に売ってみるのもアリですが、取引がコンピューター化されている昨今、そのスピードについていけないということも多く(大統領選挙の時の下落から上昇反転がまさにそうでした)今年は、急落買い場待ちのスタンスがいいのではないかと考えています。
まずは今週11日、トランプ次期大統領がニューヨークで記者会見することになっています。昨年11月の大統領選から一度も会見に応じていないため、次期大統領として初の会見ということでマーケット関係者の並々ならぬ注目が集まっていますが、発言によっては売ってやろうという短期筋もいるだろうと思います。トランプラリーの上昇幅をフィボナッチリトレースメントで計算すると、23.6%押しが114.55円近辺。38.2%押しが 112円近辺となっています。現在のドル円相場で115円を割り込むと一気に悲観論者が息を吹き返してくると思われますが、こうしたテクニカルポイントで、資金管理をしながらこつこつ拾って行くことが、2017年前半の勝者のシナリオになってくるのではないかと思っています。
コラム執筆:大橋ひろこ
フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。
TwitterAccount
@hirokoFR
マネックスからのご留意事項
「特集2」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。
商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。