第200回 中国にもペットブームが到来 【北京駐在員事務所から】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第200回 中国にもペットブームが到来 【北京駐在員事務所から】

中国では、近年ペット市場が急成長中です。
動物に加え、関連のグッズ及びサービスを含む市場規模は、2004年の1.4億米ドル(約160億円)から、2014年には154億米ドル(約1.7兆円)に拡大しました。10年間で110倍です。
特に犬が人気で、ペットとして飼われる犬の数は、推計で2,740万頭と米国、ブラジルに次いで世界第三位となっています。
ちなみに、日本は1,200万頭で第五位です。

人気の犬種は、日本と同様トイプードルを筆頭に、ハスキー、ビション・フリーゼ、サモエド、ゴールデンレトリバー、シュナウザーなどとなっています。
以前は、テレビドラマなどで取り上げられた犬種が大人気になるなど、激しい流行の波がありましたが、最近では市場が成熟し、それぞれの飼主が家庭の事情等に基づき、流行に左右されることなく自身に合った種類の犬を選ぶ傾向が強まっているそうです。

中国では、農村部では古くから番犬などとして犬が飼育されていましたが、都市部でのペットとしての飼育は、「ぜいたく」として長く認められておらず、北京では1993年にようやく解禁されました。
最近では、一人っ子政策の施行後に生まれた子が実家を巣立った後、取り残された老親が、淋しさを紛らわすためにペットを飼育することが増えています。

中部内陸部の重慶市に住む60歳の女性は、娘が北京で就職し実家を離れたことをきっかけに、トイプードルなど数頭の飼育を始めました。
ペットを通じて友人が増え、生活に潤いがもたらされたと喜んでいます。また、上海の隣の江蘇省に住む女性も、昨年犬の飼育を始めました。
彼女は息子と同居しているのですが、親子揃って、ペットに愛情を注いでいるそうです。

市場の成長に伴い、ブリーダー(育種家)も多忙を極めています。
北京で20年以上にわたりペットショップを経営する男性は、業界内でよく「子供を育てるよりも犬を育てる方が見返りが大きい」と耳にするそうです。
子供が巣立った後の老親について大学が調査を行った結果によると、ペットを飼っている家庭では不安や失望の度合いが低いとのことで、今後、高齢者を中心にペットの飼育がさらに広がることも予想されます。
また、ペットについて、「都会人のステータスシンボル」とする見方も根強く、ペットショップ経営の男性は、中国のペット市場について今後10年程度は成長が続くとの強気の見通しを示しています。

北京の街中でも、犬を連れて散歩する人々、特に高齢者の姿が多くみられます。ふんの始末をしない人が多いなど、マナーはまだまだなのですが、これも徐々に改善されていくのでしょう。
一方、農村部では飼い犬と言えば番犬あるいは家畜の見張り等の作業犬として扱われているほか、東北部の北朝鮮国境地域や南部では、食用に供されることも広く行われています。
ここでも中国の広さ、多様性を感じさせられます。

都市部で増加するペットたちが、良い環境のもとで飼育され、飼い主とともに幸せに過ごせることを願いたいと思います。

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コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所長

マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト

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