マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
2015年末を以って、中国では30年以上の長きにわたった一人っ子政策が廃止され、全ての夫婦が二人までの子を儲けることが認められました。
昨年2016年の新生児の数は1,786万人で、前年から7.9%増加しました。
制度廃止の直後は、第二子を儲けることによる経済的な負担や、母親が仕事を中断することへの不安から、出生数の大きな増加は見込めないとの悲観的な見方も多く聞かれましたが、まずは一定の効果を挙げたと言えるのではないでしょうか。
母乳による育児を奨励するボランティア団体などが、このほどネット上でのアンケートにより、第二子を儲けた親の意識等について調査を行い、結果を公表しました。
回答数は4,182で、うち4,151が母親からのものであったそうです。
「第二子を儲けたことで幸福度は上昇したか? あるいは低下したか?」との設問には、回答者の62.8%が上昇、25%が変わらず、12.2%が低下としています。
また、「第二子を儲けたことを後悔しているか?」との設問には、67.2%が後悔していない、28.8%がどちらとも言えない、4%が後悔していると回答しています。
幸福度が上昇したことの理由(複数回答)については、78.6%が子供たちの仲の良さを挙げ、また26.5%が男の子、女の子の両方を持てたことを挙げています。
一方、幸福度が低下したとする回答者に、その理由を複数回答で尋ねたところ、子育ての疲労が65%、経済的な負担が58.8%、住居の手狭さが38.4%となり、子供たちの喧嘩や第二子を儲けることに関する夫婦間の意見対立という回答も見られました。
さらには、回答者の72%が、将来二人の子を育てながら親の世話もすることへの不安を感じており、また70%以上が、仮に将来第三子を儲けることが認められた場合でも、子供は二人までとしたいと回答しています。
第二子を儲けたことで、精神的な幸福を得られた一方で、経済面や将来についての不安もまた拭えないという複雑な心情が垣間見えます。
調査を行った団体の担当者は、第二子を儲けた夫婦は様々な問題に直面するとして、税制面での優遇措置など、公的な支援を充実させ、「二人っ子政策」が効果を挙げられるようにする必要があると述べています。
一方、北京市に住む36歳の男性は、自分も妻も仕事が多忙で、また自宅も手狭なため、第二子を儲ける予定はないと話しています。
自らの人生観等に基づく判断であれば良いのですが、住宅事情など外的な制約を受けることで、本当は第二子が欲しいにもかかわらず諦めているのであれば、大変残念なことと思います。
一人っ子政策の廃止を受け、出生数が増加したことで、子供たちが今後大学受験や就職の際に厳しい競争にさらされることが、さらには男性にとってはますます結婚が難しくなる事態も想定されます。
人生良いことも、悪いこともいろいろあるのが常ですが、親子ともに、幸せを感じることができるよう、願いたいと思います。
改めて、人口を政策でコントロールすることの難しさと、それに付随する問題の重大さを痛感させられました。
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コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所長
マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト
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