第206回 航空便の欠航や遅延への対策 【北京駐在員事務所から】

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第206回 航空便の欠航や遅延への対策 【北京駐在員事務所から】

中国の空港で航空便の欠航や遅延が生じ、怒った乗客がトラブルを引き起こすとのニュースが時々報じられます。
乗客も我慢をすべきところですが、航空会社や空港の職員の事務的で冷淡な対応が「火に油を注ぐ」ケースもあり、「どっちもどっち」と思わされることも多いです。
もっとも、欠航や遅延の原因として、天候や軍による運航の規制など不可抗力的なものも多く、航空会社や空港に同情したくなるところもあります。

中国政府で民間航空に関する行政を担当する中国民用航空局(CAAC)によると、2016年通年での中国の民間航空便の定時運航率は76.4%で、前年2015年の68.3%から改善しました。
それでも、4分の1の便で欠航や遅延が生じているのですから、出張や旅行で利用する際にはひやひやものです。

欠航や遅延の原因としては、不可抗力要因に加え、航空会社や空港の管理上の問題や航空便の集中など様々なものがあります。
CAACが昨年発生した遅延の原因を分析したところ、56%が天候要因で、前年の29.5%から大幅に上昇しました。一方、航空会社や空港の管理に起因するもの、便の集中によるものはそれぞれ10%未満となっており、CAACは「人為的な理由による遅延の減少に努め、効果を挙げた」としています。

CAACのトップである冯正霖局長が、先々週の記者会見の席上、「天候が主要な原因であることは確かだが、現状はなお改善の余地がある」とし、努力を続けると述べています。
同局長は、航空会社や空港の管理の改善に加え、航空会社に対し、乗客とのトラブルの引き金になりがちな遅延、欠航時の払戻等の対応を明確化するよう求めています。
一部の会社は、「いかなる場合も返金には応じない」としているそうで、今後は利用者も各航空会社の規則を十分に調べる必要がありそうです。

北京空港を利用しておりますと、混雑と大気汚染が遅延を引き起こしていることが良く分かります。
特に朝の混雑は酷く、着陸便が優先となりますので、滑走路の手前で出発便が列をなすことが日常茶飯事です。
また、以前はあまりなかったように思うのですが、昨年あたりから、羽田や成田での搭乗時に、「北京空港混雑のため出発が遅れます」と聞くことが多くなりました。夜の到着ですと、30分あるいは1時間の遅延が結構こたえます。
国内線はさらにひどく、北京-上海間など主要幹線では、「間引きか?」と思うような欠航もしばしば目にします。

中国の航空便の欠航や遅延は、天候や軍事優先といった事情に、大気汚染や利用客の国民性など複雑な要因が絡んで発生しており、改善はなかなか容易でないと言えます。
特に、国土が広大で、一部地域での悪天候が全土に影響することは、避けられないとは言え大きなハンディキャップになっています。
利用客の側にも、このような事情を理解し、辛抱することが求められます。
航空便の欠航、遅延を巡る話題から、現在の中国が抱える様々な問題が透けて見えるように思います。
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コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所長

マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト

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