第253回 新年度相場の傾向と対策、2017年度は?!【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

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第253回 新年度相場の傾向と対策、2017年度は?!【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

4月、名実ともに新年度入り。本邦金融機関や商社など為替相場を手掛ける企業からのニューマネーへの期待も高い時期であることや、アメリカの投資信託からの資金流入などが起こる時期であるため、日米ともに株価が上昇しやすい時期と言われています。

米国の確定申告の受付は1月下旬~4月中旬。この時期になると還付金の投資先などが意識されますが、米内国歳入庁(IRS)によりますと米国民の確定申告による年間の還付額は平均でおよそ3,000億ドルを超えています。日本円に換算するとざっと30兆円を上回る規模。海外勢は4月に日本株買い参入してくるというアノマリーがありますが、実際に部門別の売買データを集計してみると2001年から2016年までの16年間、4月は連続で買い越しとなっています。1990年以降から見ても27年中25回が買い越しです。ただし、海外勢がニューマネーを入れてくるからといって、日本株、日経平均が4月に必ず上昇するというわけではありません。日経平均の4月の値動きをみてみると、過去10年で上昇6回、下落4回という結果で、特に日本株が上がりやすい時期だということではないのです。むしろ上昇しているのはNYダウ平均。2006年から2016年まで過去11年連続でNYダウ平均株価は上昇を見せていました。

ではドル/円相場はどうでしょう。
2001年からの過去16年間の4月のドル/円相場で、月初から月末にかけて一貫して同方向に動いたのは2002年の円高時と2004年と2012年の円安進行時のたった3回しかありませんでした。4月新年度のドル/円相場はトレンド化しにくいのです。チャートを検証してわかったことですが、4月のドル/円相場は「月前半と月後半では全く違う値動き」となることが多く、一貫して同じトレンドで動いた年は過去20年にさかのぼっても前述の3回だけでした。

ドル/円相場が4月に一貫したトレンドとなりにくい背景として、4月新年度入りは、米国投資家らの還付金などの流入期待などもあって、リスクテイク(ドル/円相場で言えば円安ドル高)ポジションが積みあがりやすいという側面があるものの、4月中旬から後半になると、本邦勢はゴールデンウィークという長い休暇を意識しなくてはならないためだと思われます。リスクポジションはGW前に整理しておこう、というポジション整理の動きが出やすくなるほか、米国でもSell in Mayという格言があるように、5月に向けて米株下落への警戒が強まりやすくなり、月中から下旬に向けては、米株市場においてもポジションの整理が起こりやすくなることが関係していると思われます。

こうしたアノマリーから整理すると、新年度入りの4月のマーケットは米株が堅調でも日本株、ドル/円相場には方向感がなく、1か月を通じての同方向へのトレンドを形成しにくい月、ということになります。

特に今年は、今週末4月6-7日に米中首脳会談が行われるため、リスクを取り難い環境での新年度スタートとなっています。トランプ大統領は中国を為替操作国に認定することを掲げて選挙戦を戦ってきましたが、為替報告書が公表されるのが今月4月。米国貿易赤字の大半は中国によるものです。(中国3,470億ドル、日本690億ドル、ドイツ650億ドル)米中首脳会談は中国との貿易不均衡が議題に上ることは間違いありません。また、緊迫する北朝鮮情勢についても話し合いが持たれると思われます。米国側の強硬な姿勢に中国との対立が深まるようなら、マーケットにはネガティブな影響が懸念されます。また、2月の日中首脳会談時には北朝鮮がミサイルを発射したことが記憶に新しいですが、米中首脳会談前後にも同様の挑発があるとの観測も。その場合もマーケットはリスク回避に動く可能性が高く、今週は思わぬ下落リスクに身構える1週間となりそうです。

コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

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