第257回 リスク満載の2017年GW、Sell in Mayを警戒すべき局面なのか【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第257回 リスク満載の2017年GW、Sell in Mayを警戒すべき局面なのか【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

GW谷間ですね。今年は北朝鮮問題などがリスクを取り難いセンチメントを醸成する反面、
実際にはリスクイベントを経過する度に過度なリスク警戒が払拭されて株高、ドル高となっており、しっかりとした相場展開となっています。

しかしながら、5月に入ってくると意識されるのが「Sell In May And Go Away 」5月に株を売り払って9月の半ばまで相場から離れていろ、というウォール街の格言ですが、2010年~2015年の6年間は格言通りに5月に米株が下落しており、この格言を意識しないわけにはいきません。(昨年2016年の米株の急落は8月で例外となりました)今年の米株にもこのようなアノマリーリスクがあるでしょうか。

そもそも、なぜSell in Mayといった5月高相場が演出されるのか。

その背景には、アメリカの多くのヘッジファンドの解約時期が一定であることが挙げられます。多くは4半期毎で3月、6月、9月12月の月末にしか解約できないルールで、解約をするためには45日前に解約の旨を通知しなければならないという規定があります。となると2月、5月、8月、11月のそれぞれ15日ごろまでに解約が集中しやすいということになり、5月15日がその解約通知日として意識されるというのがSell in Mayの一つの背景とも指摘されています。単純に考えると、解約申し込みが多ければ、ファンド勢はポジションの整理に動かざるを得ないわけですから、これまで高かったものが下落するリスクが高まる時期。逆にこれまで売り込んでいたモノがあれば買い戻すということで、ショートカバーも起こりやすいとも言えます。

今年2017年の場合、米株は高値圏にありますので、下落するリスクに留意、ということになるかと思いがちですが、実は米国の株価指数S&P500市場では、空売り比率が約75%にまで積みあがっており、ポジションの偏りから鑑みるとこれが整理される過程では、米株の一段高の可能性が大きいと言わざるを得ません。

一方で、為替市場においてドル/円相場には大きなポジションの偏りは見受けられません。ファンドのポジション整理による値動きが、大きくなるというような相場ではないということですが、米株がショートの巻き返しによる上昇となれば、ドル/円相場はリスクテイクで上昇することもある、というように見えます。

さらに、トランプラリーで膨大に積みあがっていた米国債ショート。この行方が注目されていましたが、4月25日時点までの先物市場のポジション動向をチェックすると、一転してファンド勢は米国債の買い越しに転換しています。買い越幅は08年3月4日以来で約9年ぶりの大きさ。その前の週までは売り越しだったのですが、一気に買い越しに転換しました。たった2か月前に過去最大の売り越しとなっていたことを考えると、たった1週間でドテン買い越しに転じた変化は非常に大きいのですが、これは、将来の米金利上昇圧力にもつながります。国債の買いが積みあがるということは、利回りの低下を招く事態なのですが、およそ9年ぶりの水準にまで買い越しが積みあがった米国債が手仕舞われ、売られる過程では、米国債利回りが上昇する圧力にさらされるということでもあり、これは将来の米金利上昇余地が大きくなったということでもあるのです。つまり将来の日米金利拡大余地が大きくなった、ということで、ドル/円相場にとっては上昇材料にもつながる、ということです。

Sell in Mayと聞くと、マーケットが大崩れして下落するイメージが刷り込まれていますが、それはその時期を迎えるまでのマーケットが、堅調で上昇していることが前提です。ポジションが買いで偏っていれば、整理される過程で売りにさらされる圧力が高まるでしょう。

しかし2017年の場合、フランス大統領選挙や北朝鮮有事リスクなどを警戒し、4月までにドル/円相場は下落が続きました。ここから下落するリスクを孕むポジションの偏りはない、というのが実態です。逆に、株価指数S&P500市場では、空売り比率が約75%にも達していることを鑑みれば、ポジションの偏りから考察すれば、ファンドのポジション整理でのリスクは米株も上昇の可能性が大きいということでもあります。もし、米株が一段高となる相場があるとするならば、ドル/円相場も上昇する可能性は十分にあると思われ、2017年のGWに関してはSell in Mayでマーケットが下落する、という刷り込みが裏目に出ることもあるのではないか、という気がしています。

コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

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