第218回 大学統一入試の受験生を支援するため市民が協力 【北京駐在員事務所から】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第218回 大学統一入試の受験生を支援するため市民が協力 【北京駐在員事務所から】

先々週、先週と中国の全国大学統一入試(高考)についてご報告申し上げましたが、複雑な制度のもと、一発勝負を強いられる高考は、受験生本人にとどまらず、家族や高校の関係者にとって、大変な重圧となっています。
中国の大都市では、住宅街を含め、至るところで様々な騒音が飛び交い、まさに「喧噪」という言葉がぴったりなのですが、受験生にとっては、騒音は勉強への集中を妨げる大敵です。中国人は総じて音に対して寛容なのですが、高考を控えた受験生には、そのような余裕はありません。

中国の都市部では、公園などに年配者(多くは女性)が集い、大音量の音楽にあわせ一緒に踊る「広場ダンス」がよく見られます。
南部湖南省のある地域では、高考の受験生に配慮し、今月1日(木)から10日(土)までの間、広場ダンスを自粛しました。
5,000名の愛好家が賛同したそうです。
ダンス参加者の女性は、「受験生にとって高考がどれほど重要で、長い時間をかけ準備を行ってきたか、我々はよく理解している。ダンスを自粛することで受験生を応援したい」と話していました。

広場ダンスは、年配者の娯楽として定着し、広く普及しているのですが、騒音に加え、公共のスペースを占有することへの苦情も絶えないそうです。
愛好者と周辺住民がうまく折り合えるよう、願うのみです。

また、南部海南省の省都海口市では、高考の会場周辺で、警察が「クラクションの使用禁止」の掲示を行い、取締りを強化したほか、同じく南部の広東省深圳市では、高考の期間中、市政府が市民にテレビの音量を下げるよう、また建設工事や住宅の内装工事を自粛するよう呼びかけたそうです。

各地で受験生への協力あるいは支援の動きが見られましたが、苦情やトラブルは後を絶ちません。
中部の武漢市では、5月末以降、広場ダンスの騒音についての苦情が、市政府に100件以上寄せられたそうです。高校の目の前で長時間に渡り踊り続けた事例もあったそうで、近隣住民からは「高考前の時期くらいは自粛して欲しい」との声が聞かれていました。
私も、中国で生活する上で、「遠慮は禁物」と日々痛感しているのですが、高考の受験生に対しどの程度配慮すべきなのかについては、人々の間で考えが分かれているようです。

受験生への配慮とは違う視点になりますが、先々週、高考の直前に、携帯電話会社から私の携帯にショートメッセージが入りました。「高考の期間中、会場周辺では電波の遮蔽措置を講じるので、通話の品質が低下する」との内容でした。
恐らく、不正行為の防止のため、妨害電波を発出して携帯電話の使用を抑止したのでしょう。ここまで必要なのですから、不正防止策もなかなか大変です。そのうち、新聞やテレビニュースで、「今年はこのような新手の不正行為が発覚した」と報じられるものと思われます。スマホなど電子機器の発達と普及が背景になっていますが、もはや「中国の夏の風物詩」の様相を呈しています。

高考が終わり、各学校では卒業シーズンから夏休みを迎えています。
北京の猛暑もこれからがピークです。
冷房が欠かせませんが、冷え過ぎも怖いところです。体調管理に気をつけたく思います。

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コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所長

マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト

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