マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
今日5日から米国の学校は新年度がスタートします。昨日4日はレイバーデーで夏休みの終了を象徴する日。米国株式市場では「レイバーデー明けからセンチメントの変化に気を付けろ」と言われています。日本の新年度入りは4月ですが、4月からは心機一転、気持ちを切り替えようというムードが強まりますね。同様に米国ではレイバーデー明けの新年度スタートの日から気持ちを切り替えようという機運が高まるのです。
※レイバーデーは「労働者の日」。毎年9月の第一月曜日と定められています。月曜が祝日となるため、レイバーデーは例年3連休となります。夏休み最後の連休ですので、レジャー需要の最後のヤマとなるとも言われています。
欧米勢は1月~6月を上半期、6月~12月を下半期とカウントするところが多く、6月末の中間決算が終わると、7月からは下期のトレーディングに入るのですが、実際には7月、8月はサマーバケーションのシーズンであるため、実質的には9月からが下期トレーディングが本格化するとされています。その後、11月末には米系ファンドの本決算、12月に欧米の金融機関の本決算を迎えますが、通常11月の第4木曜日に制定されている米感謝祭が冬のホリデーシーズンの幕開けで、このころまでがトレーディング収益を上げるために本格的に動くシーズンとなります。今年の米感謝祭は11月23日です。
では、今年の下半期、欧米勢はどのように動くでしょうか。例年9月は株式のパフォーマンスが悪いことで知られています。1929年の世界恐慌時の株価大暴落は暗黒の木曜日として10月24日の暴落からスタートした、とされていますが、実は9月第1週にはそれまでの天井から一転、下落を開始していました。センチメントは明らかに売りに変わっていたのです。直近の暴落で言えばリーマンショック。この時もレイバーデー明けから下落が加速し始め、10月のリーマン破綻による暴落へと繋がっていったことを記憶しています。
市場関係者らは、過去様々な株式市場の暴落の兆しが表れたのが9月のレイバーデー明けからであったことを記憶しているため、警戒を強める時期でもあります。
大恐慌やリーマンショックは極端な事例ですが、この時期は投資信託の決算が近いことが株式市場の需給に影響しているという指摘もあります。米国投資信託は10月決算が多く、損益通算目的で9月頃から徐々に株式売却が増えることが指摘されています。税金を減らす為の株式売却、というわけです。また、10月~11月は米国のヘッジファンドの決算も多く、解約に備えキャッシュ化する動きも活発になるとも言われており、ポジション整理による株式の売却が株価を押し下げるとの指摘もあります。例年決まって9月の株式のパフォーマンスが悪化するということの裏には、このような需給要因があるのかもしれません。
米株が9月にパフォーマンスが良くないとなれば日本株だけが上昇するシナリオも描きにくく、ドル/円相場の大きな上昇も期待できないということになりますが、逆に言えば、9月が最も悪い月であるならば、9月の安値はチャンスと考えることもできます。
9月は7日のECB理事会、9日の北朝鮮建国記念日、20日のFOMCに24日のドイツの議会選挙とイベントが盛り沢山です。今年もマーケットが大きく動く可能性は否めないムードで、何がきっかけとなるかわかりませんが、必ずしも市場の暴落につながるというものでもありません。個人的にはECB理事会で市場が期待しているような緩和縮小のスケジュールが示唆されなければ、ユーロが失望からこれまでの上昇幅を大きく削るリスクとなり、その場合ドルが大きく巻き返すこともあるかもしれないと考えています。
コラム執筆:大橋ひろこ
フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。
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