マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
中国には、諸外国から資源ごみ(電子機器、廃家電、タイヤ、プラスチックや繊維製品など)を輸入し、リサイクルする処理業者が数多く存在します。
再利用のための処理の過程で環境を汚染しているとして、このほど中国政府は、今後年末にかけ、これらの業者に対する検査を集中的に行うと発表しました。政府の環境保全部門に加え、輸出入管理を担当する部門も参加する大掛かりなものとなります。
検査の結果次第で、汚染を引き起こしている業者の営業停止、操業可能地域の制限強化、排出物に関する基準の厳格化や、違反行為に対する罰則の強化などが行われる予定です。
これらに加えて、特定の種類のごみについて、輸入を禁止する措置も検討されるとのことです。
廃棄物処理業者については、各地で深刻な環境汚染を引き起こしているとされ、政府は監視を強化しています。
日本の環境省に相当する環境保護部が、本年7月以降、1,700名以上の検査官を動員し、1,792の処理業者を検査したところ、60%の業者で、基準を超える汚染物質の排出など、何らかの問題が認められました。
環境保護部は地方政府に対し、問題ある業者に対する行政処分を行うよう求めています。また同部では、今後も輸入業者に対する抜き打ち検査などにより、監視を続けるとしています。
中国では、1980年代から、資源再利用を目的としたごみの輸入が行われています。古紙、金属スクラップ、プラスチックなどは、適切な処理を行うことで、有用な資源となり得ますが、有毒物質が含まれることが問題です。
環境保護部では、政策を適切に実行することで、環境保護と国民の健康に努めたいとしています。
中国での資源ごみリサイクル、再利用の状況は、環境保護への意識、取組と同様、まだ日本の水準には追い付いておらず、特に経済発展が遅れている農村部、地方ほど消極的と言わざるを得ない状況です。
一方、北京では「資源ごみは金になる」ということでしょうか、段ボール、ペットボトル、金属廃材等を山積みにしたトラックやリヤカーが数多く行き交っています。
街中のごみ箱は、可燃ごみと不燃ごみの二種類程度が多く、日本のような「ペットボトル」、「缶、瓶類」等の分別は、せいぜい空港などで見られる程度です。
それでも、ごみ箱にペットボトルが捨てられると、小遣い稼ぎのためでしょうか、どこからともなく人が現われ、回収する姿が見られます。
資源ごみの回収とリサイクルについては、それなりに機能しているようにも見受けられます。
リサイクル業者の操業については、おそらく遵法意識が相当に低く、違法行為が常態化し、「見つかった者は運が悪い」という風潮が蔓延しているのでしょう。政府による締め付けも重要ですが、経済がさらに発展し、社会が成熟することで、モラルが向上しない限り、なかなか改善は望み難いように思います。
資源ごみのリサイクルを巡る問題に、またまた昔の日本を見たような思いがいたしました。
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コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所長
マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト
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